2005.05.11 out
POTSHOT BEAT GOES ON
ポットショット 1年7ヶ月ぶりのリリース!
通算7枚目のアルバムはPOTSHOT流パンクロックの集大成!


[TV-087]
\2,100(in TAX)
TV-FREAK RECORDS
2005.05.11 out

01. March of POTSHOT
02. SET ME FREE
03. Forever Together
04. A million lights miles away
05. Walk with you
06. Standing in the shadow
07. Lovely thing
08. Dance with me
09. Waltz for two
10. READY GO OK!
11. Piece of scene
12. THE SHINE IN YOU 
13. Power to the children
14. Bad dream
15. One fine day
16. NO ETERNITY
スチャスチャとやたら速いスカのビートと大合唱で構成されたポップな楽曲。ホーン・セクションを擁したステージ上は Tシャツに短パン姿が定番で、英語の歌詞の意味なんかよくわからなかったけど、みんなやたらとキラキラした目で 飛んだり跳ねたりしていた。90年代半ば。邦楽でも洋楽でもないような、まだすごくあやふやなところから聞こえてくる、 めちゃくちゃ楽しそうな音。それがPOTSHOTで、それがスカパンクだった。
早いもので、POTSHOTも結成から10年。
最初は、90年代にアメリカで始まったスカパンクやスカコアをベースに作られていた楽曲も、 現メンバーとなった3rdアルバム『POTSHOT 'til I die』〜4thアルバム『POTSHOT a-GO GO』という2作の流れの中で ”POTSHOT流スカパンク”を確立。名実ともに日本を代表するスカパンク・バンドになったわけだが、 5作目では踊れるビートを、6枚目では70年代初期パンクのテイストを融合させるなど、もっと広い視野を持った ”POTSHOTのロック”を目指すべく、常に新しいスタイルを提示し続けてきた。
そして今回。7枚目となる本作で、その目は60年代へと向けられた。こうして21世紀にまで愛されてきた 素晴らしい音楽たちへの敬意といったら大袈裟かもしれないが、ガレージにマージービート、モータウンなどといった キーワードで彩られた今回のPOTSHOTサウンドは、それらの”手法”を取り入れたのではなく、そこにある”美学”を 踏襲しているような印象だ。一聴するとオーソドックスかもしれないが、そこにはちゃんと、新しい光を放つメロディーと ビートがある。奇をてらうことなく、「本当にいい曲」が生まれた。RYOJIの言う通りである。
旺盛な好奇心でロックの歴史を紐解きながら、それを自らの楽曲にフィードバックさせてきたRYOJI。
お気付きの方も多いと思うが、彼はその曲のモチーフになったものやインスピレーションを受けたバックグラウンドを いつも公言している。マジシャンがタネを明かすのとは違い、今こんなのが好きなんですよ、 こんなスゴイ曲みつけちゃったんですよという、ものすごくピュアな”一(いち)音楽好き”の目線で、 自分が見つけた素敵な音楽をわかち合おうとしてるような、珍しいタイプのソングライターだ。
「カッコつけていうとそういう感じなんだけど、もっと単純にいうと、天才じゃないって自分で知ってますからね。 ただほんとに音楽が好きなだけ。ゼロから(曲)は出ないんですよ。だからいろいろ聴いて盛り上がったところで作るんです。 だけどカッコつけさせてもらうなら、自分は<本物>じゃないけど、本物を聴いてるぞっていうのはわかってほしいですね。 今って<ルーツ>を聴かない子が多いから、たとえばスカパンクっていっても結局マイク・パークを知らなかったりする。 だからうちらを通してそういう本物に出会ってほしいし、こうやって言うことで、そういう本物のレコードも 買ってくれたらいいなって思ってるんです」(RYOJI)
謙遜し過ぎというか、ぶっちゃけ過ぎというか(笑)、ともかくRYOJIはそういう姿勢で音楽を続けている。
自分は本物じゃないなんて言うけれど、彼の作るメロディーラインの素晴らしさは この作品でもしっかりと証明されているはずだ。残念ながらこれがラスト・アルバムとなってしまうわけだが、 POTSHOTの作り上げた音楽は、これからもずっと誰かの胸の奥とどこかのターンテーブルの上で鳴り続けるに違いない。
センチメンタルな感情はもう少し先までお預けするとして、今はこのアルバムからあふれ出るビートが より多くの人に向けてまっすぐ届くことを願うばかりだ。     山田邦子