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Live Report ライブレポート 2002

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2002.7.10
"RETURN TO NATURAL 2002 夏の陣"
>"武蔵野犬式"
怒髪天 <2DAYS>



その結成から18年。現メンバーが揃って14年。札幌を離れ、上京してから数えても丸10年……マジこいて半端じゃない活動歴である。しかし、R&BならぬR&E(リズム&演歌)という珍妙なジャンルを打ち立て、昭和歌謡の芳香漂うファンキーでブルージーでしかも心根はパンクという、まさに時代もニーズもお構いナシなサウンドでもって我が道を驀進してきた怒髪天は、その多くの時代を不遇でかこってきたバンドでもあった。80年代バンド・ブーム期にあって受け入れられず、90年代バンド氷河期にあってもちろん受け入れられず、遂には90年半ばに一旦活動を休止……が、結果としてはそれが良かったのかもしれない。じっくり考え自己確認。メンバーもそのままに再燃してからの彼らは、現在、怒濤の勢いを見せつけている。別段音の傾向が変わったわけではない。迷いを振り切った彼らの我が道=かつてのケモノ道は、今や幹線道路のごとく太く広く頑丈になって、人々を頼もしく連れ行くようになったのだと思う。というわけで、その怒髪天のワンマン2daysが先頃敢行された。両日ともドシャメシャの超満員である。しかも、1日目は尋常でない暴風雨という状況でのスシ詰めだ。これがジーンとせずにおらりょうか。最新作にして最高傑作『武蔵野犬式』のナンバーを中心に、苦難の時代の懐かしいナンバーをも披露して、後半に進むに連れて尻上がりに激しさを増す一方のステージは、彼らが三十路を越えているのが信じられなくなるほどがむしゃらだ。根性と努力と友情と希望ががっつり詰まった楽曲群は、笑えて面白くてしかも泣かせる。それはそのままMCにも発揮され、たとえば「お前等は土佐犬だー!」っと焚き付け、場内がオオッ!と湧いた瞬間「俺、チワワ」とオトすそのタイミングも見事なら、誰も自分たちを相手にしてくれなかった時代に唯一親身になってくれたかつての下北沢屋根裏店長、つまり現Que店長/二位氏の逸話をとつとつ語って、また泣かすのである。客電が上がっても鳴りやまぬアンコールの嵐。請われて何度も出てくる彼ら。最後には、ジョーvs力石戦を彷彿させるまでに真っ白くなっているのがわかるほど、文字通り全身全霊大熱演の1日目であった。ので、翌2日目はさぞかし疲れているかと思いきや、どっこいさらなるバーストを果たし、MCのネタまで全然違うエンターテナーぶりを大発揮。そしてやっぱり鳴りやまぬアンコールに応えまくって……打ち上げ時には、人差し指でちょんと押してもパッタリ倒れるんじゃねえかという増子くんがおりました。昨日の嵐が嘘のようなスカッと快晴を前にして、天気まで彼ららしいと思ったのは、きっと私だけではあるまいと思う。
(撮影/鈴木恵・多賀小百合、文/中込智子)
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