2009.5.30
開演前の会場を見渡すと、観客はなぜか一様に浮足立った表情をしていた。これから始まる祭りを、ただただ楽しみにしているような、そんな高揚感だけが目立つ。それに、遠藤は初めのMCでこう言った。「難しいことは抜きにして楽しんでいってね」と。
この一言も重なって、一瞬、解散は夢だったのではないかと思った。だってその証拠に、いつもどおり曲はぐんぐん熱を持ち、会場の温度は一気に上がっていってる。
だけど、次のMCでメンバーは結成のころの思い出を話し始めた。あ、あ、雲行きが怪しいぞ・・・。極めつけは「さっき、難しい話はなしって言ったけど・・・」という遠藤の台詞。とたんに現実がずんずん押し寄せてくる。嫌だ。どうして。やめてよ。そんな不毛な言葉を自分の中で何度も繰り返した。
でも、そんな気持ちとは対照的に、メンバーは全員さっぱりした顔をしていた。解散の話になると、やっぱり言葉につまるところもあったけど、それは解散を惜しんだり迷ったりしているためのそれではなく、事実をどう言葉にしようか悩んでいるという、ただそれだけのことに見えた。その、揺れがない、あまりのすっきりとした表情には「解散しないで」なんて典型的で湿っぽい言葉は全然似合わなかった。
曲は色を増して、スポットライトは彼らを照らし続ける。アンコールで飛び交った言葉は無数の「ありがとう」だった。そしてその言葉は彼らにとてもよく似合っていた。"C-999 解散ライブ" C-999 -oneman- [文/渡部希美、撮影/松本順子] ※CLUB Que WEBSITEすべてのコンテンツに使用されている画像の無断転載は禁止です。
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