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Live Report ライブレポート 2013



2013.6.1
"1st mini album「黒キ渚」RELEASE TOUR「複合人格」"
黒木渚
ピアノのBGMをかき消し、心臓の鼓動音が会場に鳴り響けば、それが独演会の始まりの合図。ノスタルジックな雰囲気のイントロと共に現れた、暗闇に鮮やかに咲く薔薇色のミニのドレスに、すらりと伸びた素足。ボーカル・黒木渚がギターを鳴らして歌う一曲目は、のびやかなハイトーンボイスが印象的な「あたしの心臓あげる」。ドラマティックな展開でサビ部分を英語詞で歌い上げる、ミディアムテンポの心地よいギターロックは、黒木渚の1stシングルにして代表曲だ。地元福岡から東京に拠点を移して、今年3月に発売された1stミニアルバム『黒キ渚』のリリースツアーは、CLUB Queを皮切りに4月より全国を巡り、再びこのステージでファイナルを迎えた。東京初の独演会は即日完売。MCが始まった途端、客席から“せーの”の掛け声で「おかえりー」の声援が上がり、顔をほころばせる場面も。ネパールの少女神を歌った「クマリ」、曲中にスプーン曲げ(!)をして見せる「エスパー」、古風な日本的歌詞で綴られる「赤紙」。全ての作詞作曲を手がける黒木渚の本名をそのままバンド名に掲げた、バンド・黒木渚による独特の世界観が心に突き付けられる。中でも衝撃作は“2か月前、わたしはこのバスルームで死んだ”という独白で始まる「ウェット」。不倫にあった恋人を刺殺した挙句に自殺を図り、いまだバスルームから成仏できない女性の歌だ。あまりに絶望的で、時にグロテスクな言葉の断片だが、パンチ力あふれるロックサウンドに乗せて高らかに歌う、生きる者へ送るエールは爽快ですらある。“バンドを始めて、貪欲な生き方に変化したのは、あなた達のおかげ。感謝の気持ちを込めて、これから大舞台へと一緒に駆け上がっていく感覚をプレゼントしたい”と約束した黒木渚。鳴り止まないWアンコールの声に応えた「ノーリーズン」が響く空間は、ステージも客席も幸福感に満ちていた。
[文/下村祥子 撮影/濱谷幸江]
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