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Live Report ライブレポート 2017



2017.2.19
"RETO presents 3MAN LIVE Night 前編 ~マドラスチェックな夜~"
RETO/高井息吹と眠る星座/the tote
RETO RETO
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 RETO企画の3マンライブ。トップはthe tote。予定されていたウルトラタワーが、メンバーのインフルエンザのためキャンセルとなり、急遽アコースティック編成での出演が決まった。冒頭で菊地ショー(Vo)が♪キライキライあなたが嫌い~とRETOの「私の歌」をワンフレーズ歌い上げ、スローバラードの新曲「ブルーバード」でスタート。温かい音色のピアニカとエッジの効いたブルースハープ、そしてパンチ力のあるコーラスで聴かせる、さきちゃん(Cho.Key)の芸達者ぶりが印象的だ。アカペラの“アメージング・グレイス”から始まった「ヒイラギ」では、みながわひかる(Cajon)も加わり、美しくて力強いチームワーク抜群のハーモニーに魅せられた。最後の曲「路上のシンガー」は、RETOのこやまゆい(Vo)と加藤隼人(Gu)も参加。手拍子のアコースティックならではの客席との一体感に、ハッピーなムードが広がった。ピンチヒッターでの出演に不安もあったというが、状況を楽しんだ彼らのパフォーマンスは貫禄さえ感じられ、素敵なライブとなった。

 2番手は高井息吹と眠る星座。右手にピアノ、左手にドラムがステージ中央に向かって置かれ、スタジオライブのようなプライベート感を醸し出す。一曲目「carnival」から高井息吹(Vo.Pia)の奔放なボーカルが弾け、会場の雰囲気は一瞬にして音楽の魔法にかかった。一曲の中で、吐息のような歌声のピアノ弾き語りを基調とした前半から、エモーショナル叫びへと盛り上がっていく展開と、ジャジーでポップなサウンドに目も耳も釘付けだ。まるでフランス語を話すように歌い、そして歌うように話す彼女の独特な世界観にあふれたMCに、客席から「可愛い…」の声がもれる。彼女がライブ活動を始める前からのつきあいのRETOとは、前回のQueでの彼らのワンマンでピアノで参加する仲。「フィナーレ」では、イントロでの音楽の喜びを一身に受けるようなポーズが神々しく、途中でステージ中央に出て、高揚感を内に込めながら、裸足で踏みしめ全身で歌を奏でた彼女。爆発力のある演奏でバックアップする“眠る星座”と相まって、柔らかくも芯が通った表現力に全編で圧倒された。客席は最後の一音まで聞き入り、曲が終わった静けさの中、誰も動けなかったのが印象に残った。

 トリはもちろんRETO。メンバー全員、シャツやネクタイなどでマドラスチェックの物を一点、身につけて登場した。一曲目「雨ガール」で始まると、ポップで親しみやすいメロディが作り出す、温かい雰囲気が会場を包む。「行くぜー!」と明るい姉御キャラのこやまゆいが、バンドの先頭を切るように叫ぶと「夢と魔法の相関図」では“一歩踏み出せない君の背中をそっと押せるようなそんな魔法をかける歌を作ったんだ”と歌った。RETOのライブを観てると、まさにそんな勇気をもらえる気がしてくる。「あのね」では“あのね、ひとつだけ言い残した思いがあるんだ。あなたにわたしの白いドレス姿、見せてあげたかったな”と語りかける。恐らく先立つ娘の心情を歌った歌詞に涙腺が緩まずにいられない。ポップサウンドが疾走する「生命のいろは」でフロア大盛り上がりのまま、本編終了。アンコールでは、8月のthe toteとの2マンライブも発表。「負けないぞ!」と、こやま×さきちゃんの紅一点同士の宣戦布告の場面も。最後は「君は僕のロックスター」「Restart」で、会場中に響くシンガロングやコール&レスポンスが、どこまでもハッピーで心地よい雰囲気を完成させた。RETOを讃える拍手はライブ終了後いつまでも鳴り続いた。糸が折り重なって一枚の生地になるマドラスチェック。そんな温かい布みたいなライブにしたいと言ったこやまの想い通りの仲間たちが集った、心が温かくなるイベントとなった。

[文:下村祥子/撮影:前田美里]
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