CLUB Que WEBSITE

Live Report ライブレポート 2017



2017.6.3
"「small small world!!」ピロカルピン「ノームの世界」リリースワンマンツアー"
ピロカルピン
ピロカルピン ピロカルピン
ピロカルピン
画像をクリックすると拡大表示で閲覧できます。
 ギターを抱えてステージの中央に立つと、前をまっすぐにみつめ、凛とした佇まいと透明感のある声で歌い出した松木智恵子(Vo&G)に、一瞬で心を洗われて目が離せなくなった。一曲目「朝」を歌い終えると「こんばんはピロカルピンです」と一言だけ告げ、次の曲「未知への憧憬」へ。顎のラインでくるんと巻いたボブにワンピース姿、ギターを鳴らしてシンプルに伝える彼女のボーカルが、90年代UKロックを思わせるエッジの効いたサウンドに乗って耳に届く。
 今夜は、クラウドファンディングを実施し、5月にリリースされた彼らの8枚目となるニューアルバム『ノームの世界』のレコ発ワンマン。松木は「“ノーム”というのは大地を司る精霊のこと。その精霊の小さな小さな、誰も知らない秘密の世界を感じてもらえるように、精一杯演奏したいと思います」と宣言した。もう一人のメンバーでアレンジ等を担当する岡田慎二郎(G)と、アルバム制作にも参加したサポートメンバーのサカモトノボル(B)、冨田洋之進(Dr)が次々と描き出す、スケール感の大きなロックやアップテンポのナンバーたち。ライブが進むにつれて、浮遊感をまとったのびやかなボーカルと尖ったギターサウンドの共存がより深まっていく。
 「わたしはピロカルピンで“アルバムを10枚出す”という目標があるんですが、アルバム毎に発見があって、今回は音楽の不思議さを感じて。もっと知らないことが沢山あるんじゃないかなって思わせてくれる作品になりました。一生モノの作品が出来たと感じています」との松木の言葉に、会場から大きな拍手がおくられた。
 静かな情熱で噛みしめるように聴いていたオーディエンスが、「南十字星」でステージに呼応して歌い出し、手拍子が沸いて歓声が上がった。ドラマティックな展開を魅せる「風立ちぬ」で本編が終了。メンバー4人が同時に丁寧にお辞儀したのが印象的だった。「今夜のワンマンは、客席にまるで子を見る親のように見守ってくれている人が増えて、どんどんあったかくなったのを感じました」と松木が感極まると、アンコールは「3分間」「虹の行方」を演奏し、大きな余韻を残してワンマンが終了した。
 鳴りやまない拍手の中、もう一度顔を出した松木が「みなさんが応援してくださる気持ちがすごく伝わってパワーをもらいました!」と次のワンマンを約束した。ステージと客席、双方向で想いが伝わっていった素敵なライブだった。

[文:下村祥子/撮影:山中善正]
※CLUB Que WEBSITEすべてのコンテンツに使用されている画像の無断転載は禁止です。

MENU

WWW このサイト内
Copyright © CLUB Que SHIMOKITAZAWA All rights reserved.