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Live Report ライブレポート 2018



2018.3.11
"電気がなくても唄はうたえる!~SUNDAY SPECIAL~"
なおこと一郎。[浜崎なおこ(レプリカ)+田中一郎(甲斐バンド/ex.ARB)]
田渕ひさ子(toddle/ex.NUMBER GIRL)
藤島美音子(Swinging Popsicle/Alma-Grafe)/海月ひかり
なおこと一郎。
なおこと一郎。
田渕ひさ子
田渕ひさ子
藤島美音子
藤島美音子
海月ひかり
海月ひかり
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東日本大震災から7年。3月11日の開催が恒例となったイベント「電気がなくても唄はうたえる!」。今年は前夜に行われた男性シンガーによる「漢の宴」に続いて、この日は女性シンガーによる弾き語りライブが行われた。

トップバッターは海月ひかり。パッツン前髪に赤いハイヒールでピアノを弾き、しみじみとした雰囲気から、次第に朗々と ♪涙のあとの静かな夜に くちづさむ歌だけは変わらないよ、と歌い上げる「路形」で始まった。その喜怒哀楽に富んだ歌声に、会場はすぐに心を掴まれた。Que初ライブは震災のわずか三日後だったと印象深そうに語った海月。アコギの野口薫を呼び入れ、新曲「春がきらう」、そして溢れる愛を込めた「アーティスト」を赤裸々なまでに熱唱した。ラストは海月が音楽的故郷と呼ぶ、福岡の情景を描いた「千鳥橋」をブルージーに歌い切った。

2番手は藤島美音子。オフホワイトのベレー帽を被った可憐な佇まいでアコギをつま弾き、英詞と日本詞が入り混じったボーカルが耳に心地よい「うわごと」でスタート。懐かしくも切ないメロディにフロアが酔いしれる。相方の黒ベレー帽のKoji Sunshine(Alma-Grafe)がウクレレで伴奏し、足に付けたハンドベルでリズムを鳴らす。Swinging Popsicleの楽曲「あるべきかたち」に続き、ウクレレに持ち替えた藤島が自分の原点と熱く語った、Fairground Attractionのカヴァー「ハレルヤ」を歌唱。凛とした歌声が響き渡る、美しい世界観を作り上げた。

3番手は田渕ひさ子。きちんとボタンを留めたシャツと艶やかなおかっぱの変わらないスタイルで、真摯にアコギに向かうと弦を力強くかき鳴らした。「360°」で始まったライブは、2枚のソロアルバムとtoddleの曲で構成され、この日唯一の完全一人弾き語りとなった。ロックなギターの音色に乗せた歌声は、低めの話し声とはギャップのある、少女のように真っ直ぐに澄んだ愛らしいボイス。MCでは中学時代に兄のガットギターを借りて始め、その後、自分のエレキギターを手に入れて初めて演奏した時の感動話を“電気にまつわる爆笑トークでした”とオチをつけ、会場を和ませた。

トリは、なおこと一郎。が登場。激しくかき鳴らされる田中一郎のロック魂あふれるギターに対し、エレガントなドレス姿にギターを抱えた浜崎なおこが美しくもエモーショナルな歌声で応える「愛がいっぱい」で始まった。待望の1stアルバムからの曲を中心に演奏。ジャジーでシックな大人のムードで、時に軽やかに、時に芳醇に、客席を存分に魅了した。浜崎が歌詞を綴ることで“辛いことをやっと空に飛ばせた”と語った「はじまりのうた」が心に響く。絶品のシャウトを聴かせたジャニスのカバー「piece of my heart」、The Infections時代の名曲「燃え尽きる太陽」、デビュー30周年を迎えるレプリカの「バレリーナ」を披露。田中が「なおこさんはもっともっとボーカリストとして世界で評価されてもいい」「自分の残りの人生をかけてスペシャルなボーカリストとして知れ渡らせたい」と語った言葉は、あの場に居た誰もが心にグッときただろう。

アンコールは、地上最強のラブソング「Baby together」を演奏。その後、この日の出演者全員で「In My Life」「Have You Ever Seen The Rain」をセッション。まさに4者4様の女性シンガーの共演は各々のカラーが浮き彫りとなり、その対比は絶妙だった。電気を極力使わないアコースティック編成によるイベントは、それぞれの音楽的ルーツを剥き出しにし、よりそのアーティストらしさに触れることのできた贅沢な宴となった。

[文:下村祥子/撮影:山中善正]
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