原:皆さん、今日はDQSを代表して溝渕さん、高橋さん、山口(ハジ)さん、丸尾さんに集まって頂きました。この凄すぎるバンドの凄すぎる話をざっくばらんに聞かせてください。よろしくお願いします。
一同:よろしくお願いします。
原:7月5日のDQSワンマン、お疲れ様でした。さらっと7月5日の感想を聞いてみたいなぁと思うのですが。一回目と比べて何か違うところ、変えたところはありました?
溝渕:けっこう全て違う感じじゃない?
高橋:二回目だからもうちょい余裕出てくるのかなぁと思ったんだけど、全くそんな事無かった(笑)。
溝渕:違う。一杯一杯だったよね? 新曲多かったからね。まず構成が覚えられないでしょ(笑)。覚えてるやつ一人も居ないんじゃないかな?
一同:爆笑
高橋:正直な所ね。皆譜面台がなかったら。
溝渕:ハジ覚えてる?
高橋:これから譜面台厳禁だからね。
ハジ:俺は譜面台出してないもん。
溝渕:本当に!?
丸尾:ハジほとんど見てない。
高橋:マジで!?
溝渕:でもキックの上に置いてたじゃん
。
ハジ:うん、でもめくってないですからね、結果。
高橋:うわー、なんか神様に見えてきた。
溝渕:じゃあ、ハジだけだ覚えているの。
丸尾:俺正面に居て、あ、こいつ見てないな、って。
溝渕:マジで! すげぇ、ちょっと俺尊敬してきた。
原:そんなに大変なのに、一回目では演らなかった曲を二回目で演っているんですか?
溝渕:一回目に演った曲+新曲が、何曲演っただろ?
丸尾:5曲ぐらい演った?
ハジ:一回目と大きく違ったのはライブの構成。一回目はカバー曲を後ろにして、カバーで盛り上がるっていう感じだった。
溝渕:人の曲をイベントのサビにもってきてるのが一回目。二回目からはバンドとして、自分らの曲で盛り上げたいなっていうのが大きな違いです。
丸尾:2回目は集中力が増しましたね。妙に。
高橋:ドラムが9台もいると、途切れると大惨事になる事が分かったから(笑)。
丸尾:リハでは一回もまともに成功しなかった曲もあるよね? 本当もう最後の最後の最後まで。「STROKE」という曲だけど。本番でばっちりいったっていうのは、もう奇跡だね。曲も長いし、リハやってても誰かが失敗すると、本当に「おいっ」てなるで、それ何回も繰り返しやるんですけど結局誰かどっかで、ちょろっと間違えたりしたんですよ、リハで。
ハジ:本番で初めて成功する。
二位:どういうプレイ?
丸尾:どういったらいいんだろう…「ダカダカダッダカダカダッ」っていうユニゾンのプレイ。それが少しずつ変化していくんですけど。キックがずれたりとか、無くなったりとか。増えたり減ったりを、どっかで誰かが間違えるんだけど。それがもう完璧にいったのが本番だけ。
ハジ:それでよく本番やったよな(笑)。
高橋:終わった瞬間「出来たぁ」って(笑)。
原:本番に強いってことですね。ところで緊張感はありました?
溝渕:緊張感はね、皆バンドマンだから。
二位:丸ちゃんなんか、顔が完璧に変わるもんな。
ハジ:おれ恐いっすもん。ほんと凄い先輩に囲まれて。
一同:爆笑
二位:高橋先輩は全然顔かわんないよね。
高橋:だいたいいつもあんな感じ(笑)。
原: 9人もいるじゃないですか、お互いの癖だったりとか、意思の疎通というのは?
溝渕:そりゃ最初から結構分かってた感じはあるのね。互いのライブ(ドラム)を見てるから。だいだいこの人はこういうタイプだってのは良く分かって始まってるから。
二位:じゃあその、特徴的なものを持ってる人の名前と特徴を教えてください。
溝渕:あのね、とにかく手数が多くてうるさい。本人はマイウェイだと思ってない。意外に「俺ら気を使ってるよ」って言うけど、全然そんな事無いのが丸尾と(立井)幹也。
一同:爆笑
丸尾:絶対言われると思った(笑)。俺「あー幹也君ね!」って今言おうとしたもん(笑)! あいつうるせーな!って(笑)。
溝渕:丸尾と幹也だから。
二位:うんそうだと俺も思う。
丸尾:その間に挟まれてプレイしている高橋君。
高橋:それが、すんごいステレオで(笑)。ステレオで爆音。
二位:一緒にやってみたら、「あれ、思ったよりこの人違ったな」って人は?
溝渕:多分、うるさい奴が2人いるから、「あーいう風にやるのはやめよう」っていって、普段のプレイをしてないのが浩司君かなぁ。もうちょっとあるよね?いくよね?
高橋:隣が凄いから見ちゃうんだよね(笑)。もうちょっと自分がうるさいドラマーかと思ったけど以外と俺普通だなって(笑)。
一同:爆笑
高橋:ここまでしないよなぁ、俺は~。
溝渕:うるさいよね、両サイドが。
丸尾:いや、かなり抑えてると思うんすけどね?
溝渕:いやそれは分かる。分かってるけど…うるさいよね、二人は。
原:じゃあ逆に他の皆さんは気を使いすぎたり?
溝渕:他の奴らは全員気を使ってんじゃないの?
一同:爆笑
丸尾:えっ?ボク気を使ってますよ?
溝渕:いや分かるよ、そりゃ分かるんだけど!それはもう、それぞれのレベルの話で君の精一杯は、普通の人の普通より少し下だから。
丸尾:でも、そういう意味でいうとヤマちゃん(メレンゲ)とかは、かなり全体のアンサンブルを見渡して、けっこうアイツが居る居ないデカイよね。
溝渕:そうだね。
丸尾:すごい全体見渡してたもん。
高橋:すごい引いてみてるよね?
二位:ヤマちゃんね~彼の背中からなんか出てるんだよ。ホール側から見たら、ヤマちゃんの背中が見えて、あそこに全てが乗っかってる感じで、まぁ、あれがエンジンで、コントロールしてるケンちゃん。運転してるケンちゃんみたいな。そんな雰囲気がしてる。
高橋:なんか制御システムがついてるみたいな(笑)。他のドラマーへの制御システム!行き過ぎないようにって。
二位:丸尾と幹也がハイオクだもんな(笑)。
ハジ:ヤマちゃんとケンさんが曲書いて。いちばん最初は丸ちゃんも曲書いてたよね?
丸尾:ああ、それをケンさんが。
ハジ:ヤマちゃんはけっこういいポジションでいる。
丸尾:そうだよね?ほんと彼が居る居ないじゃだいぶこの団体も変わる。
溝渕:そうだよね。
ハジ:先輩キャラの後輩で。
溝渕:ああいう後輩が、引っ張っていくポジションでやってくれてるってのがいいよね。
一同:うんうん。
高橋:先輩としては非常に乗っかりやすい(笑)。それで駄目だしもされちゃう(笑)
一同:爆笑
ハジ:言いやすいんだろね。
丸尾:ある種言いやすい(笑)。
高橋:先輩に言われちゃうとね。でも後輩に言われちゃうとね(笑)。
原:そもそもこのDQSは、何で結成されたのかを詳しく聞きたいのですが。
溝渕:そもそも、お互いのライブを見に行くじゃない。行って、ただボケッと観るよりかはお互いのドラムセッティングを手伝うっていう、そのセルフローディーっていうか。
原:それがドラムスクイックサービスですか?
溝渕:そう。
二位:その時点でもうDQSっていうチームがあったんだよね?
溝渕:あったんだけど、まさかそれでバンドを始めようってのは当時は無かった。
原:誰がきっかけを作ったんですか?
溝渕:いやぁ(二位さんが)演れっていうから。
一同:爆笑
二位:演れとは言ってないけど、ドラムが沢山並んでるのを観たくてしょうがなくて、ずっと色んな人に言ったのよ。打ち上げとかで。ドラマーでちょっとリーダーシップがある人にね。例えばナカジマノブとかさぁ、クハラとかにさぁ。ちょいちょい言った事はあんの。そんで、「面白いね!!それね!!」とは言うんだけど、想像つかないんだろうね。で、あんまり誰もやろうとしなくて、ところがこの広島の鬼兵はね「あ、いいっすね!演る、演る、演る!」 『じゃあケンちゃんどうする?』 「CLUB Queだから9台でやる!」 『え~っ!それはちょっと~!』てな感じ。でもね、こっちが言い出したから、9台だろうが何だろうが無理だよとか言えないじゃない(笑)。
溝渕:どう考えても、普通の線でいったら、あんときは無理な感じだったじゃないですか。もう勢いのみで。
二位:面白さ半分で(笑)。
溝渕:「Queだから9台で」(笑)。
原:あ、じゃあもういきなり9台。
二位:そうなのよ。
原:4人から始めようとか、5人とかではなく。
二位:新井田さん(RCサクセション)達がドラマーズ(5台)っていうのを演ってて、Queのステージにドラムが5台並ぶノウハウはあったから、そのテイストだと思ってた。そしたら9台。
原:4台多くなった(笑)。
二位:それで俺、セット図を作り出すんだけど、何枚も何枚もやり取りしたもんね?
溝渕:20通りくらいセッティング案をやり取りした(笑)。
二位:あーだ、こーだね(笑)。
溝渕:最終的には、なんか変な陣形が(笑)
高橋:なんかWっていう陣形があった(笑)。
一同:爆笑
高橋:俺けっこう好きだったんだけど(笑)。
二位:ホールだけにしようか、とかさ。色々考えたよね。
原:9人のメンバーはケンイチロウさんが集めたんですか?
溝渕:何人くらいかなぁ、多分ね、5,6人くらいまではポンポンっとイメージが出来た。あと3人とか、どうしようかなぁって時に、その、既に決まってるメンバーで「誰かいない?」っていう話し合いで。
原:一緒になってやってみてという形で。
溝渕:そうだね。だから、浩司君が徹志とか、ヘアブレのね、入れて。
原:入ったけどやっぱり無理といって抜けた人は?
溝渕:いないよね?
一同:うなずく
高橋:皆誘ったら即答で「やる」って言ってくれた人たちが、9人が集まって。最初に手を挙げた9人っていう感じ。
丸尾:むしろ演らせてくれって人もいたね。
二位:初日の終わった後のさぁ、見に来てたのドラマーの人の顔がもう凄かったよね?
高橋:あれ以降凄い言われますもん、だって。演りたいって。
二位:こっちは両方見るじゃん?演者(DQS)も、見に来てるドラマーも。だから終わった後の演者のこう、清々しい顔と、煮え切らないというか参加したい、叩きたいという見に来たドラマーの顔(笑)。
高橋:もう「見に来たくない」って言われたもん。その気持ち分かりますよね(笑)。
丸尾:いやでもね、この話もらって、もう二つ返事で演るって思ったんですけど、一回目終わって色んな仲間から話聞くと、俺もしあいつらの立場だったらどうしようって。俺もう絶対見に行きたくないもん。逆だったら。ずっとこう(歯をくいしばる)なってる(笑)!
高橋:逆だったらやばいよね!
ハジ:確かにそうだよね(笑)。
原:練習場所とかの日程出しは難しくないですか? 9人のスケジュール合わせるのだけでも大変じゃないですか?
丸尾:むちゃくちゃ大変よ。
ハジ:欠席者とか出ますもんね。
溝渕:9人とピットさん(ギター、ベース、鍵盤)が3人いて。ゲストボーカルはおいといても、バンドとしては12人でリハをしているから…そのね、スケジュール出すのもね。普通の事務所のマネージャーが「僕は、嫌です」って言わせるくらい大変だよ(笑)。
高橋:12人が一日空いてる日を探さなくちゃならないから、むちゃくちゃ大変だよ。
原:そうですよね。じゃああんまり(スタジオに)入れない?
溝渕:一回のライブに対して3回,4回ぐらいは…。
二位:でもそこらへんのバンドマンからしたら「えっ? 3回であれ演っちゃうんですか?」みたいな話だね(笑)?
溝渕:その代わり、一回のリハが長いですよ。10時間とか。
高橋:スタジオ取るのがね、3ヶ月くらい前になるの。
丸尾:時間ほんと長いっすね。
原:けど3回じゃ無理に思えるんですけど。
二位:ここで卓越したプロミュージシャン「練習の前の個人リハーサルが大事なんですよ」っていうコメントが入るんじゃない!?
一同:爆笑
高橋:だけどスタジオ前にある程度覚えてきたとしてもやっぱ1人でリハしてるのと、9人でリハしてるので、全くなんか違うというか。
ハジ:高橋さんメールで「俺より先行かないで」って(笑)。
二位:それはリハスタに先に入らないでってこと?
ハジ:いや、覚えていく度合(笑)。
一同:爆笑
二位:ああ!「一緒に赤点越えよ」みたいな?
溝渕:意外とハジね、宿題やってくんだよね。
高橋:そう。ちゃんと覚えてやってくる。
二位:丸尾は本能だけでやっちゃう。
高橋:本能組と、あの技能組。そして覚えてくる理論組と(笑)。
溝渕:性格出てて面白いよね。
高橋:あとみんちゃんとかは紅一点だけど、一番男らしかったりとかするしね。
丸尾:いさぎいい太鼓叩きますよねぇ。みんちゃん。
原:(練習場所は)スタジオとかではなく、でっかいホールとか借りて練習を?
溝渕:市の公共施設みたいな、あの、フルオーケストラが練習出来る様な、大きな音楽室とかあるんだけど。
原:そこを借りて。皆さんドラム持ち込んで?
溝渕:そうだね、9台とギターアンプ、ベースアンプ、キーボードアンプとかPAシステムとか全部。もうけっこう居抜きで借りる事が多いから。
原:その時も、本番に向けて一緒に円陣を?
溝渕:だいだい、ああいうセッティングのまま。
原:本番と同じような並びで、誰がここに居てっていう形で。
高橋:並べられる所を借りるっていう感じ。
二位:最初は凄くでっかい円形だったんでしょ? 一番向こうの人が遠すぎて何してるか分からないって言ってたよね(笑)
溝渕:1秒くらいのラグがあって(笑)
高橋:ほんとにあるの、タイムラグが!最初は単純にノリが違うと思ったの。
ハジ:それが距離の問題だった(笑)
溝渕:音を聞くと合わないんだね。皆のフォームを見てヒットしたのを見てないと合わない。音で聞くとずれちゃう。
原:本番の時も皆さん、顔を見ていましたね。誰がどう来るのかっていうのを見ながらプレイしてますよね。酔いしれて黙々と叩いてる感じはないですよね。
高橋:とにかくキョロキョロしてるもんね(笑)。
二位:がしかし、丸ちゃんミラーボールしか見てない(笑)。
丸尾:「回ってんなぁ…! こらー!」
原:曲は、ケンイチロウさんが書いてるんですか?
溝渕:あとヤマちゃん。リズムのパターン、8パターンとか9パターンとかね、固めていってっていうのはヤマちゃんが作ってて。
原:それで、後は皆が何かしら入れて?
溝渕:ヤマちゃんのやつはね、やっぱ8通り、9通りのパターンが織り成して、一つになるから、アドリブは入れたら崩壊しちゃうのね。結構もう16分とかの違いで、他のパターンの人のアクセントが入ってくるから。アドリブ入れちゃうと誰かと(音が)当たっちゃったりするのね。
二位:そこまで緻密なんだ!?
溝渕:あいつ緻密っすよ。
丸尾:あいつの頭脳の中を僕らが再現するっていう。
溝渕:そうだね。やっぱり9通りのパターンを住み分けるにはそういう風にしないと。
丸尾:緻密に見えなかったりとか、ある種ポップに見えたりするって事が多分、一番いいとこなんかなぁ。
二位:素朴な質問なんですけど、皆さん譜面を読むことは?
溝渕:譜面? ドラム譜? ドラム譜は多分皆読めますよ?
ハジ:いや、ぼく譜面読めない。
溝渕:マジで?
丸尾:僕も一切駄目。
高橋:ドラム譜ってファがバスドラ?
二位:ヤバイ! そんな話になっちゃった(笑)!!
一同:爆笑
高橋:大体読めないって感じ(笑)! 皆の譜面台を見るとね、けっこう性格でるんだよね。ドドチャ-ン!ってカタカナで書いてる人とか(笑)。
二位:そんな中でやってんだ!それは、じゃあヤマちゃんは、フレーズをどうやって説明してるの?
ハジ:いやもう目の前で叩いてみせる。
二位:ああ~、実践派。
高橋:あなたコレですから。僕コレやりますから、あなたコレ叩いて下さいって一人ずつちゃんと他の8人に言って。
二位:でグルッと回って、もう一回丸ちゃんとこ行くと、丸ちゃん全然違うこと叩くみたいな(笑)。
一同:爆笑
丸尾:まっ、そういう場合もあります(笑)!
高橋:でもね、そうならざるをえないくらい難しいリズムがあったり。
二位:だって普通の会話でも、「はい、これを言って」って9人グルって回して同じ事言える確立ってちょっと低くなってくるよね?
丸尾:忘れちゃうんですよね。
高橋:他の人が複雑なリズムを叩くと、そっちに耳が行っちゃう。
二位「このフレーズかっこいい!」って思った瞬間にいっちゃうでしょ!?
丸尾:ぼく正直、カッコイイって思う余裕無かったです。
溝渕:この年齢になると自分らの引き出しだけで勝負できちゃうじゃない。ドラムに関しては人から「コレをやって」って言われる機会がもう無いもんね。10年以上ないかも。
高橋:ほら、開けてない引き出しを開けるってのはたまにあるけど、引き出し作ってくれって言われることが無いから。DQSってそういう状況だもんね。
原:演ってて、つられてしまう事もあるんですか?
溝渕:人のフレーズにつられるって事は無いけど、気を奪われるとやばいよね。「あいつ、ちゃんと叩けてるやん」とかって思いながら余裕かましてると自分がどっか行っちゃう(笑)。
丸尾:もう、帰らぬ人となる(笑)。
一同:爆笑
二位:ギターとか、鍵盤の音とかって聞こえてるの?
丸尾:ちゃんと聞こえてますね。
溝渕:もちろん。
高橋:意外と聞こえますね。それにそのピット3人がどういうトラブルでも対処できそうな3人にお願いしてあるから安心。
二位:そこに安心感がなかったら演ってられないよね。
溝渕:そうね。
高橋:でも逆にピットさんたち、どのドラムに合わせていいか分からなくなる瞬間があったりもするみたい(笑)。ベースの平田 (Swinging Popsicle)が「高橋の後ろは嫌だ!」って言ったんだよ(笑)。
原:座る位置は、どうやって決まったんですか?
溝渕:なんだっけな?
ハジ:それもケンさん決めたんじゃない?確か。
溝渕:そうだったっけ?
高橋:でも絶妙な位置関係だよね、今考えたら。
ハジ:俺の位置はね~凄い面白いの。
溝渕:ステージ下にいる4人はまた別だよね?
ハジ:リハでは、さっき言ってたピットさんの音ってほとんど聞こえない。でも本番になるとプレイヤーでもあり、なんかお客さんの目線でも見れるって。そういう面白さが凄いあるんです。
高橋:凄い楽しそうだもんね。
ハジ:客席の一番前でドラム叩いてるようなもんだから。
二位:一応読者の為に、ポジションはどこですか?ファーストかセカンドか?
原:えっ(笑)?
溝渕:あそこは、キャッチャーか?ハジとヤマちゃんキャッチャー(笑)。ちゃんというとステージ上に5台、下に4台あって、その真ん中。上手から2番目の所がハジだよね。
高橋:図があると分かりやすいね、確かに。
二位:そうね、あ、図面入れよう!名前入れて。
原:これだけ集まると、もめたりしません?
高橋:選曲でもめた事はあったね。
溝渕:カバーに関してはね。
丸尾:でも多分音楽的なもめ方っていうのは、多分どのバンドでも。ケンカとかじゃなくって、そういうやり取りは普通にありますよ。
ハジ:パターンも、いくつか出てきて、皆の意見も出てきて。全部それやってから「やっぱこれが良かったね」みたいな。
丸尾:そういうことはある意味9人いるってことは特殊な事なんですけど、やっぱ(DQSが)一つのバンドなんやなぁ、って事は2回目とかで凄い感じた。
二位:多分、曲作ってリハしてワンステージを構築してのドラムの台数っていう点では、最大レベルなんじゃない?
丸尾:僕らはフリーセッションじゃないからね。
二位:そうだよね、未確認だけどかなり自信あるよね。
高橋:ドラムが9人って凄いけど、例えばベースが9人とか、ギターが9人とは、またなんか雰囲気が違う気がしますね。
溝渕:そうね。
高橋:やっぱある程度ドラムって、こう無意識に譲ったりする感覚が身についているから。なんとなく。あと引いて見ているというか。
二位:ああ~。俯瞰的に見ている。
高橋:そうそうそうそう。
二位:実際DQSのライブをみたら、ある意味想像したものとはちょっと違ってたんだよね。この面子だから曲はやるだろうとは思っていたけど、もうちょっとフリーセッションっぽいのかなって。ここまで構築してワンステージちゃんと作るとは思ってなかったし、一番感動したことは、ドラムが9台居るっていうことを除くと…
ケンちゃんのプロデュース能力だね。それは凄いと思った(二位)
丸尾:それは俺も。最初想像したものと違うっていうのは、全く僕も一緒で。最初は絶対こういうまとまった感じになるとは思ってなかったから。だから楽しみではあるけど、なんか偉そうに俺、お祭り騒ぎっていうのはもうわかってるから、ちゃんと考えんといかんて。
二位:飲みながらやってもええんや、みたいな(笑)。
丸尾:だからそういうのは危ないから止めとこって、俺偉そうに言うたんですわ。だけどそんなことケンさんは、元々考えとったんやな、と(笑)。
一同:爆笑
溝渕:丸尾に言われんでも(笑)!
二位:よりバンドだったし、よりサーカスっぽいよね。
溝渕:あーサーカス。メリーゴーランドみたいなスピード感とか。景色が変わる感じっていうのは。
二位:うわっ、象が出てきたっ、玉乗りやってるっていうような驚きが次々に出てくる。
溝渕:俺はそこでしか考えてないかも。逆にドラマーとしては、別に自分が頑張んなくても、あと8人もいるから(笑)。
一同:爆笑
丸尾:叩いてないほうが多いすもんね。
溝渕:うん、そうなの。叩いてない。半分くらい叩いてない。
二位:まぁ、元々ボーカリストだからね。
溝渕:そうだね。
一同:爆笑
溝渕:でも本当いいドラマーの上に乗っかって、唄うのとか、その前に立ってこう、リズムに乗るのって楽しいんだな、っていうのは、確認できた。自分が叩いてなくて、センターで指揮とって。まぁいいドラマーがバンドにいないと駄目なんだね。
丸尾:いいドラマーっすよね、皆ね。
溝渕:いやぁ、皆いいドラマーだよ。
丸尾:それぞれ皆のライブ見てるんだけど、つくづく思う。こいつはこのバンドで演ってたから、こういうプレイになるんだなっていう。そういうの感じると、なんかこう、バンドの重みみたいなのを感じるよね。
二位:そういえばグリコさん(富岡義広:TENSAWおよびALFEE/忌野清志郎/矢沢永吉のサポートドラマー)が喜んでたねぇ。
溝渕:ありがたい事に(笑)。
二位:偶然来て偶然見て「何だこれ!?」って!
高橋:えっ!偶然来たの!?
二位:そう。知らないで来たのよ。用事あって来て、「ちょっとグリコさん見てみて!」「ほら、凄げーでしょう」って(笑)。「ええー!?何これ!?」って(笑)!最後まで見てった。
原:ドラムの場合はバンドでは基本1人ですけど、9台のドラムが並べられると、いろんな叩き方とかあって面白いなぁと思いました。フォームとか、鳴らし方とか。同時に比べることは他の楽器と違ってまず無いですもんね
。
高橋:人のセットに座るって事すら、あんまいっぱい無いから。
原:移動してましたもんね。
高橋:9人分のセットに座れるっていう。ハジのセットがまた叩きにくいの。これが(笑)。
二位:ナチュラルじゃないんだ?
高橋:桁違いに叩きにくい(笑)。
二位:どんな?
高橋:もう、常識ハズレですよあのセット。
溝渕:見た目にはそんな、普通なんだけど。
二位:バンドとしてもさ、一番ナチュラルな、オーソドックスなんだけど、やっぱ草加市民あなどれない。
溝渕:あなどれない(笑)。座ると叩けたもんじゃない。普通叩きやすい角度とか高さにっていうのはセオリーなんだけど、我々みたいなドラマーは割りとそういうの糞食らえなんだけど。見た目にかっこいいセッティングにしたいから。そこは大前提なんだけど。ハジの場合はそういう意味でも無いんだよね。なんか理にかなってない事だらけ。
丸尾:ことごとくね。
高橋:なんか踏む足の形からずれて踏む。着地の位置が違う。
二位:何処?つま先?
ハジ:つま先だけ乗っけてたりとか。
二位:あとは全部外れてる?
ハジ:うんうん。
丸尾:スネアが向こう(客席)向いてます
。
二位:それは何で?リム(ショット)を多用する人だっけ?
ハジ:昔っからそういうセッティングだったんで、今更「なんでこんなセット?」って言われても、自分では(笑)。
二位:それってさぁ、ガレージ系とかさぁ、60年代風の人たちは向こう側向いてるけど、ハジはそこに憧れはないじゃない(笑)。
ハジ:無いですね(笑)。
溝渕:タムもけっこうガチャガチャな向き。
原:ガチャガチャ(笑)?
溝渕:手前に傾斜があるのが普通なんだけど、あっちっつーか、左側に傾いてたり。かと思えばフロアは右側に傾いてたりとか。なんか、水平感がもうガチャガチャなんですよ。気持ち悪い(笑)。
ハジ:DQSの時は、タムとかは、ヤマちゃんから叩いてもらいたいくらいの角度にも、セッティングしてるんですよ。自分のバンドのときは、もうちょっと普通です。
丸尾:あれ、そうなん?
二位:(腕を外側から内側へ)こう叩いてるの? これ文章にしずらいなぁ(笑)。普通は習うと(腕を)まっすぐ降ろせってなるでしょう?
ハジ:あんまそこはね。
二位:考えちゃ駄目なんだね(笑)。
ハジ:各自セッティング、面白いですね。
丸尾:異様に椅子が高い、とかね。哲郎さんと徹志君高い。
溝渕:こないだ個人練習のとき、ハジと徹志と、合同個人練習。強引に椅子下げさせた(笑)。とりあえず5センチ下げさせた(笑)。
二位:あれね、俺の中での統計あってね。企業秘密だけど「男前だぜ!」って思ってる人は結構、椅子が高い。
一同:爆笑
丸尾:徹志も高いからね。男前だもんね。
二位:足長い。
高橋:高いのと低いので…ちょっと変わるよ(笑)。この4人は低くない?
一同:低い低い(笑)。
高橋:やっぱ、昭和世代は低いもんなんかね。
一同:爆笑
溝渕:低いのみんな昭和世代だよ!
二位:ちょっと前にさ、従業員の質問でさぁ、「何で、皆1タムなんですか?」って聞かれたんだけど。
溝渕:それねぇ。
丸尾:俺もびっくりした。
二位:おれが高校生のとき先輩達は、こぞってタムはもう3つくらい並べて。
高橋:シンバルいっぱい並べてね。
二位:出来ればバスドラも2つみたいな。俺は気持ち悪いと思ってたんだけど。
溝渕:はいはいはい。
丸尾:僕もそうだったもんね、若い頃。
溝渕:僕もそうでしたよ。
二位:なんで1タムになっちゃったの?
高橋:意外と使わないってことに気づいたのかね? タムが2つあっても。
二位:皆髪を切って、キラキラした衣装を脱いで、Tシャツ&Gパンになった位からタムの数減ってきたね。
溝渕:グッとね。全てはシンプルに。
原:普通は2タムなんですか?
溝渕:オーソドックスなのはそうだね。
二位:2タム1フロア。
溝渕:若い子皆ワンタムだよね。
原:それはやっぱり、音数がいらない。そんな叩かないとか?見た目とか?
溝渕:それは若い子たちの憧れのバンドがそうなんじゃない。そういうバンドの1タムの写真見てね。
原:それを真似て始めるみたいな。
溝渕:俺たちもそうだったからね。2バスでタムは4つ。雑誌で見て「これだ」って。でも、1タムから今の子達は始まってるじゃない? だけど今後増えることって考えにくいよね? 1タムから3タムはないよね。
二位:そういうバンドが流行んなきゃね。でも1タムなんて昔だったら異端児だったじゃん? パンクとか、そういうこだわってる人はシンプルにシンプルにって言って減らして。先輩周りがフュージョン、後輩はメタルとかいう時代だからさぁ。俺たち変だったもん。
高橋:そういうロックバンドとかって居なかったよね。
ハジ:ドラムの歴史って、2タムからじゃないっすよね? 1タム?
二位:うん。調べたらやっぱりね、バスドラ、大太鼓にシンバルをくっつけて、ドンシャンやることから始まって、それを地面に置いて、中太鼓乗っけて、小太鼓置いて。シンバルも最初、スティックで叩かなかったんだってね。それこそ凄く叩きにくそうな配置で全部のセットが高いの。
一同:へぇ~。
二位:で、それを途中からシンバルもスティックで叩くようになったらしいよ。そしてベイビー・トッズでハイハットが出てきて。
ハジ:1920年。
二位:ハイハットが出来て、凄いプレイが変わったわけだけどベイビー・トッズは、ハイハット大嫌いなんだって。「うるさい」って(笑)。
ハジ:この時代ってエレキギターないっすよね?
二位:エレキギター全然無い。PAなんかも全然ないだろうね。
原:皆さんに聞きたいんですけど、なんでドラムをやってるんですか?やり始めたきっかけ。ドラムになったきっかけ。ギターじゃなくドラム?
溝渕:まぁドラムが一番楽しいから。だと思うんだけどね、結局は。
高橋:最初に好きになったミュージシャンが、ドラマーだった。
原:他の楽器じゃなく最初からドラム?かっこいいなぁ、みたいな感じで?
ハジ:僕の場合だと、お兄ちゃんがベース演ってて。で、なんか映像見てて…。ドラム回転してて。
一同:爆笑
ハジ:俺そこですよ(笑)。
二位:回転しなきゃもうドラムじゃないくらいの(笑)。
ハジ:いずれ回転したいなぁと。
二位:いずれ回転するんだろうなぁと(笑)!
高橋:今でも思ってるんだろうけど(笑)。まだいける(笑)。
一同:爆笑
二位:じゃあ是非9台全部回転してね(笑)。
丸尾:これやってみたいなぁ(笑)。
二位:コレでリズムキープ出来たらスゲェぞ!
ハジ:それギネスに載りますよ(笑)。9台全部回転。
二位:ロートタムってどこいった?
丸尾:ずっとロートタムだったの。
溝渕:えっ? 何になりたかったの(笑)?
丸尾:ロートタム3つ置いて…。
二位:ロートタム見るたびに俺"ポキール"思い出す。
丸尾:ポキール何?ポキール何すか?
二位:ポキール知らない?おしりに貼る、ギョウチュウ検査。
丸尾:あ~。たしかに。
一同:ポキール(笑)。
原:聞きにくいんですけど、皆さんのドラムってやっぱり高価なんですよね?
溝渕:そりゃみんな激安いのは使ってないよね。やっぱり。
二位:ちなみに誰が一番?
丸尾:ケンイチロウさんの高いんじゃない?
溝渕:俺のはオールドのラディックだから。66年のやつなんだけど。買ったのが俺が25~6歳の時で、その当時で、バスドラ、フロアタム、タム3つで50万円くらいだったかな。
丸尾:おわ!高いわ。
高橋:今はもっと上がってるね。
溝渕:まぁ知れてると思うよ。
原:対バンの持ち込まれたドラムを見て「お!」ってのはあるんですか?
溝渕:ライブハウスで対バンだとドラムを持ち込むってまあないけど、ツーマン、ワンマンは持ち込むようにしてて…。
丸尾:最初(溝渕と)喋ったきっかけはそれですもん。大阪のクアトロで。
溝渕:あー。そうだっけ?
丸尾:クアトロで「いいラディックですね」って(笑)。
一同:爆笑
ハジ:まだ敬語なんだ。
丸尾:それから東京で会うたびに「あなたのラディック元気ですか?」って(笑)。
一同:爆笑
丸尾:ラディックさんみたいな(笑)。
原:DQSのドラムはどこのメーカーが多いんですか?
溝渕:ラディックが一番多いのかな? センターの3人がラディックだし。だけど全員ロゴマークが違うから、けっこう楽しめるよ。年代が3人共違うから。
二位:いやぁこんな話してると本当バイクと被るじゃない? ねえハジくん? お前のバイクのここが最高だよなぁ! みたいな。
ハジ:ドラマーとバイク乗りって似てますよ。
二位:俺とハジはキャンプツーリングしたことあるもんね。
ハジ:そうなんですよ。
二位:初日にドラムセットを並んでんのを見て思ったんだけど、「これ、打ち上げ中も並べておくべきだなぁ」って。でもまぁ片付けはしないと駄目だから(笑)。で、セット残して打ち上げやってもいいよって言って。ドラムセット組んだまんまね、打ち上げやってね。
高橋:そんで深夜3時くらいに死にそうになりながら片付けて(笑)。
丸尾:もうあれが一番しんどいの、毎回。
高橋:夜中の3時くらいから片付ける。
ハジ:あの時間は誰もクイックじゃなくなる(笑)。
丸尾:酒が進むにつれて、視線がパッとステージに行くと、「ああ、あれ今日片すんや」って。
一同:爆笑
二位:でもあの並んでる感じの凄さっていうのはちょっと他の楽器には無いな。
高橋:やっぱりバイクとかも並んで走りたいとかってあるじゃないですか?見た感じってホラ、綺麗に並んでると「かっこいい!」って。乗らない俺でも思うし。やっぱドラムセット9台並ぶっていうのは、その感覚に近い。
二位:近い近い(笑)。メッキの輝きとか。
ハジ:バイクは一人でツーリング行っても面白いし、皆でツーリング行っても面白いし。面白さ全然別なんですけど、今回のドラム9台も凄いそれに似てるの分かって。
二位:似てるよね。
丸尾:セッティングしたらまず写真撮ってましたね、皆ね。
二位:いやぁ、もう俺22年ライブハウス居るけど、お客さんが終わった後に楽器をパシャパシャ(笑)。けっこう初めて。もちろん演者に向けてるのはよくあるけど、皆楽器見てるもんね!
原:普通は無いですからね。
高橋:2台並んでる事ですらあまり無いわけで。
原:皆さん何か大きなトラブルってなかったんですか?
二位:そういえば、丸ちゃんハイハットの芯棒に手のひらぶっ刺したことあったよね(笑)
溝渕:あー、あったね。
二位; Clingonの時だっけ? シンバルをミュートしようとして。
丸尾:いやいや、そんなおしゃれなもんじゃないっすよ。ただ暴れただけなんで。
高橋:いやー、痛そう。
溝渕:ドラマー歴史年表作ったけど、ボンゾ、トミーリー、キースムーンに次ぐ爆笑だよね。
二位:そういえばパンクの人のドラマーってニュースがありそうであんまりないよね。
高橋:そう! だからピストルズとジャムとダムドぐらいしかそれなりのやつ(ニュース)なくて。あとポール・クックがデビット・ボウイの機材を盗んだって(笑)。楽屋に忍び込んで盗んだっていう(笑)。
溝渕:そういうのいいよね(笑)
高橋:ドラムと関係ないけどいいエピソード(笑)。
二位:スティーブ・ジョーンズはキース・リチャードの所からかっぱらったよね(笑)。
ハジ:あ、ほんと?皆やってるね。
丸尾:皆盗人かよ(笑)。
ハジ:ただの泥棒ですからね(笑)…楽屋入って持ってくって。
丸尾:ドラマー以前にね。
溝渕:身近に盗人っていないのかね、そういう(笑)? 盗んで見つかって叱られた、みたいな。
丸尾:でも俺騙したことはありますよ。あの…大阪の機材レンタルの「○○○」っていうでかいのがあるんですよ。そこに凄いビンテージのラディックが置いてあったんですよ。レンタルで。で、俺が持ってたすごい普通のPearlのスチールがあって、(店員に)「こんなボロイの人に貸したらアカンで、俺の新品やから交換してやろか?」って(笑)
一同:爆笑
丸尾:交換した事ありますね(笑)。そのセットまだありますね。盗人っすね。
二位:詐欺師、詐欺師!ちょっと書いといて(ドラム年表に)。『丸ちゃん串刺し』と『丸ちゃん詐欺』!
丸尾:ひどい事してるな、俺。
二位:『ドラム交換詐欺』(笑)。
高橋:なんか悪そうだね!
二位:まぁでも、相手も了承の上だからね(笑)。ところでいつごろの話?
丸尾:二十歳くらいの時かな? 17年位前。
溝渕:93年。
二位:串刺しは?
丸尾:97年のデビューぐらい。デビューは2000年くらいだから、ハジと会った時。
ハジ:96年10月とかそのぐらい。
丸尾:あ、じゃあ96年だ。
ハジ:10月の7月。ツアーやった時。
丸尾:あ、じゃあそうだ。97年の10月。学祭だ。
原:話をDQSに戻したいんですが、ゆくゆくは増やすんですか?
溝渕:ん? ゆくゆく?
原:もう一人入れたいとか。
二位:「まだまだ音数が足りないなぁ」とか言ったりして(笑)。
一同:爆笑
溝渕:まあ、真面目に言うと、ポリシーというかライブを観てもらうと分かるんだけど、すごいオープンマインドで閉塞感とは対極にいたいから「9人じゃないと駄目なんすよ」っていうのでは決してないんだけど…。必然があれば例えばギターが2人なり…もしかしたらドラムが増えるかもしれないしね。それはその時の目的とか、みんなのモードとかで変わることはあるんじゃない。ただ色んなドラマーに言われるんだけど、メールとかでも「僕にも声かけて下さい!」ってね。だけどやっぱり大前提は「お互いがお互いを助ける」っていう…
何だろね、「仲間を助ける」集団だね(溝渕)
二位:代弁しますと「俺たちに入りたかったら、俺たちの楽器を運べ」…なんかヘルズ・エンジェルスみたい。
一同:爆笑
溝渕:まぁまぁそう、普段のライブに顔出してから来てっていう、なんかそういう所で始まってるね。ただドラムが叩けるやつが集まってセッションしてるのとは、ちょっと違う。最初の苦労を分かち合う必要があるよね。
原:俺達を知れ? みたいな事ですか?
二位:そうだろうけど、一方通行じゃなくて「俺もお前を手伝ってやるけどな!!」ってのが後についてくるんだよ。ケンちゃんの場合はね。
溝渕:そういう所から、友達の楽器も大事に扱う大事さも学ぶし、お互い「あの人はこういう楽器使ってる」っていうのも知れるし。
原:音楽じゃなく、人的な関わり合いというか。
溝渕:全ては人っすよ。
原:重要ですね。
二位:じゃなかったらこんな上手くいかないよね?
溝渕:多分殆どのドラマーはね、参加してみたいと思うんだろうけど、なんか演ってみればいいんじゃないすかね? それぞれやりたいもん同士が。
二位:ああ、別でね。
溝渕:色んなパターンがあっていいと思うんだ。DQSも音楽を伝えるための一つのこう、ファクターに過ぎないからさ、他のそういう複数ドラムのバンドが増えてもいいと思う。ただ俺たちの始まりのテーゼっていうのは、そういうブラザーフッド的な気持ちから始まってるっていうだけで。ドラムが好きな奴が単純にセッションしたいから集まってバンド組むのもOKだと思うしね。
二位:4台程だけど秋葉原でもやってたしね。流行るかも。
後藤:イギリスでは582人が一斉に8ビートを叩いたらしいですよ。
一同:ええ!? 582!? それ知らない。
後藤:チャリティイベントらしいですよ。
溝渕:いつの話?
後藤:去年の7月13日。2006年にはウッドストックで533人っていうのもあったらしいです。
二位:自分のドラム持ってきてやるの? 世界一の台数?
後藤:はい。これが今のギネスの記録らしいです。
二位:本当にドラムセットかなぁ?スネアだけとかじゃない? 7~800台置けるってそうとうでっかいよ?
後藤:動画で確認した所、でっかいコンサートホールみたいな所を貸しきって。指揮者がいて、一斉に。あんまり陣形関係なく、横一列に。二階席の、お客さん用の席にもブワーって。
丸尾:やるなぁ。
溝渕:だけど音楽じゃないよね(笑)?
後藤:滝の様な音でしたね。ビートとかはもう特に。
二位:でもそれなら俺も参加できるなぁ。ドラムセットさえ持っていれば。
原:そういう感覚ですよね。
丸尾:友達じゃねえ奴ばっかだろう!
一同:爆笑
二位:そうそう。ボアダムスの88台とかも「ドラム持って公園に集まって」という状態で、そりゃ物凄い偉業なんだけど、リハやって音楽的構築をしているというところでDQSは凄すぎる。
丸尾:俺、普段あんま負けん気強くないんやけど、俺ら友達だもん!
一同:え~っ!? 爆笑
原:次回は2デイズですね。
高橋:初日は終わっても、機材を片付けなくて済む。一番感動するとこ(笑)。
原:1日目と2日目の違いとか、あまり言えないとは思いますけど差別化は考えてます?
溝渕:差別化はしないとは思うけど。高橋君も言ったけど、1日目終わって片さなくて済むっていうのが最高に…(笑)。あっ…2日目は9人の持ち場をガラッと変えるっていう荒業があります。
二位:持ち場をかえる?
溝渕:ポジションがかわる(笑)。セットの位置も変えるか。
高橋:ちょっと自分たちに今、課したねぇ。課題を(笑)。
一同:爆笑
溝渕:2日目続けてやるセッティング面のメリットを無視して(笑)。
二位:2日目は9台全部ホールに並んでるとか?(笑)。
高橋:お客さんがステージに居る(笑)。
原:まぁ、何が起きるか楽しみですよね。
一同:うなずく
溝渕:そうそう、新曲あるよ。2曲。これはもう公言通り。
9月9日にCLUB Queで9人のドラム侍が9時9分に9拍子の曲をやりますよ(丸尾)
二位:おお!9時9分!
高橋:デジタル時計必要だよね?どんなに曲途中でも(9時9分に)やめるっていう(笑)。
一同:爆笑
二位:カウントダウン(笑)。はいOK! 用意しておきます(時計を)
原:楽しみですね。
高橋:俺たち意味の無いことに死ぬ気でチャレンジします(笑)。
原:ギターの人は難しいんじゃないですか?
溝渕:全然大丈夫。俺の曲とヤマちゃんってまた作り方も対極なんだけど。ヤマちゃんのはさっき言った、リズムで構築していく9拍子だから、数えて追ってないと見失っちゃう。俺なんかはリフ。9拍子かけて、ドラムが全部リフになってるから。ギターや他の楽器も一緒。見てる人はのってても「あれ? なんか感覚ずれてる?」みたいな。それをキャッチーにサラッとやれれば、カッコいいかな?って。
高橋:サラッとね(笑)
一同:爆笑
ハジ:俺、苦手なんだよね。顔に出ちゃうし。
二位:変拍子が顔に出る? 「耳なし法一」の呪文みたいに!?
原:何かか違った楽器が入ってくるとかは?
溝渕:そうね。いつかホーンとかも入れてみたいよね。
二位:ドラムと管楽器が並んで金属だらけになったら、俺もう…やばい。金属フェチだからね。
溝渕:うれしくなっちゃう(笑)?
二位:なんつーの…俺、溶接でセッション参加しても良い(笑)
一同:ええー! 爆笑
二位:バチバチバチッ、ビカビカって!
丸尾:それもいいっすね?ゆくゆくは。
溝渕:あっさり無茶言うな~(笑)
ハジ:そういうのやる人9人とドラム9人(笑)。
二位:PAにむっちゃ嫌われるんだけどね。鉄粉がとんでスピーカーの磁石にくっつくんだよ! って古川さんにすげー怒られる(笑)。
高橋:ポップな感じで受け止めてもらえるといいよね。
溝渕:ひけらかす9人とかいう訳じゃなく、ポップミュージックをちゃんとドラム9台でやる。
原:難しそうですよね?
溝渕:難しいですよ。打楽器ですから、本来。キャッチーとはけっこう対極にいる。打楽器複数台いるとね、ちょっとアーシーな方向にいっちゃったりするのが普通だし。あくまでもメロディが9台だからね。
丸尾:多分メンバーにそういうの演ってるのが居ないよね。ツインドラムとかっていう、そういう音楽やってる人って、特に居ないよね?哲郎さん、まぁabout tessやって。
二位:あぁ、about tessくらいか。
丸尾:でも皆、ポップなセンスを持ってる人間が集まってるから。
二位:やっぱ話戻っちゃうけど、ドラムを叩き出すってのは何だったの?
溝渕:なんだろね?
高橋:俺最初に好きになった人がクイーンのロジャー・テイラーで。
二位:へー。
高橋:その人に憧れてドラムやりたいなぁと思って。その人ほらけっこう凄いばっちり、白いスーツきてカッコいい。
溝渕:かっこいいよね!
高橋:ものすごい原始的な叩き方するときあって。そこが凄いかっこよく見えた。洒落た演奏してる訳でもなくて。
丸尾:次のブログ、ロジャー・テイラーネタで書いてる(笑)。
高橋:マジで(笑)?
溝渕:DQSブログってのがあって、毎日書いてんのね、日替わりで9人で。
二位:日替わりなんだね。
高橋:たまに自分が何番か忘れちゃう(笑)。DQS何号だっけって?
原:えっ!番号で呼び合ってるんですか?
一同:爆笑
高橋:そんなわけない。それじゃ完全に囚人だよ!
原:一瞬そうなのかと思った(笑)。
二位:一番若いのは誰だっけ?
丸尾:徹志(hare-brained unity)?
二位:そうか。あれがまた一番前の一番はじっこにいるのが可笑しいんだよね。あのクールな顔がね。
高橋:俺、時々ドキッとする。
原:一番年上は誰ですか?
溝渕:浩(高橋)ちゃんじゃない?
高橋:年齢差13もあるよ。
二位:しかし高橋くんはQueの色んな逸話イベントに、ほぼ参加してるよね?
高橋:ほぼ必ずね(笑)。
二位: クラッシュの50人入れ替わりセッションや、年末のカバー大会とか。
高橋: BOOWYやったね。
二位:そうそう増子ヒムロックでしょ、両サイドにコレクターズのコータローさんとウエノコウジがいて、それが両方とも布袋なのよ。長身だし格好も。でもドラマーは何故かタモリに見える高橋くんで(笑)。苗字しか合ってない。
高橋:高橋まことさんのつもりが何故かタモリに見えた(笑)。
しかしQueって土壌が広いよね。ドラム9台っていったら「嫌だ」って言われるよね(高橋)
高橋:PAの古川さんなんかドラム9台でもいい音出るようにしてくれてさ。
二位:しかもマイク自分で買ってた。
丸尾:なんかケンさんの音狙うのに、俺のタムの脇から狙ったりとか。よくそんなこと思いつくなぁ。
高橋:あれ、セッティング見るだけでも感動する。そこにマイクがあった(笑)。気づかなかった。感動したなって。
二位:ああ、ちゃんと邪魔にならないようにするんだよね。
高橋:しかも前回より、改良点があったりするのね。
二位:あの人、パンをイースト菌から作る人だから。
一同:ええ~!
高橋:ちょっと納得しちゃった(笑)!
二位:そろそろまとめましょうか!
原:次、2デイズですけど、それぞれ一人ずつ、それに向けて意気込みを聞かせてもらいたいなと。
溝渕:新人バンドがね、まだ2回しかライブしてない訳のに、いきなり3回目4回目は2デイズで。しかも全部ワンマンだからね。恥ずかしながら(笑)。
二位:そうだね(笑)。昼の部やる?
原:早朝からセッティング!? バラシが19時くらいになりますよ。
二位:そりゃいかん(笑)。
溝渕:しかし飛び級だよね(笑)。身の程しらずのね。そういう意味では早い段階かなと思うんですけど。その分負けないようにね、尋常じゃないテンションと気合いで、かからなイカンなとは思ってるわけですよ。時期尚早も甚だしいとは思ってるから。気合は尋常じゃないですよ。もう今からそこしか見てないです。
一同:爆笑
原:高橋さんは?
高橋:とりあえず2日間見て、お客さんが「楽しかったなぁ」って帰ってもらえるように、なんか色々考えたいなぁとは思ってます。
溝渕:楽しい空間にしたいよね。
高橋:とにかく楽しく帰ってもらえるように、2日間やりますよ。
原:丸尾さんは?
丸尾:感動したいですよね(笑)。自分が感動して周りが感動する。そしたらまたそこから(感動を)もらう。感動の…嵐っすよ(笑)!になるように2日とも。もう終わったらぼろぼろですよ?感極まって(笑)。
二位:俺、木村君が一回参加してみて欲しい気がするよね。
ハジ:普段Clingonでも「ドラムうるせー」って言ってるのに9台(笑)。
丸尾:井垣君とかもいいかなっと思って。
一同:爆笑
二位:いいけど、誰かのドラム壊れるから(笑)。
高橋:嬉し過ぎて頭から血流すとかね。
原:井垣さんの話も出てきたし…ハジさん、そろそろ締めでお願いします。
ハジ:いやいやいや(笑)。
原:お願いします。
ハジ:いや4人目って何もないすよ。
二位:あるでしょう。
ハジ:いやでも僕もう単純に、2デイズって、自分のバンドもやった事ないんですよ。
凄い楽しみですね。自分で楽しむ。
そんなこんなで、2日目の最後にケンさんをまた泣かしたいなと(ハジ)
溝渕:ま、泣くと思うけどね…。
一同:爆笑
溝渕:みんなウルウルきてるもんね?
原:お客さんに伝わるように。ぜひとも。
溝渕:一番ね、2デイズを前にして違うのは、まだ現時点で一回もリハに入ってないけど、みんな全然気負ってないって事が、一番違うところかなぁ。こないだのね、7月5日っていうのは俺はもうバンドとしてね、どういう方向を示せばいいのかっていうプレッシャーというか期待っていうのが凄いあったから、気負ってたよね、みんなも。 でも、自信がついたから、本当に楽しめる2デイズだなぁと。今回はそういう気負いは全然ないよね。だから間違いなく楽しくなるとは思うし…うん、するとは思います。
原:では、今日はありがとうございました!
一同:ありがとうございました!
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