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THE COLLECTORS
メンバー:加藤ひさし(Vo),古市コータロー(Gu),小里 誠(Ba),阿部耕作(Dr)
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THE COLLECTORS
    1986年に加藤ひさし(Vo)と古市コータロー(Gu)が中心となって結成。91年にリズム隊のメンバーチェンジがあり、小里誠(Ba)と阿部耕作(Dr)が加入し現メンバーとなり、2011年で結成25周年を迎え、多くのバンドに影響を与えているTHE COLLECTORS。長く活動し続けている中で様々な環境の変化や流行があったとしても、彼らはその中に埋もれることもなく突き進んでいるバンドだと感じてしまうのは何故だろうか。デビュー当時の曲を聴いても、2010年に出したアルバムの曲を聴いても違和感を感じることなく、これだと思えるバンドなのだ。「ブームの主流に乗れなかった、乗る気も無かったんだけど、正直言えば自分たちで種を撒いていた気持ちでいた。撒いたからバンドブームもできたし、渋谷系だって生まれたんじゃないのかな。そういう気持ちが常にあったんだろうね。」とのこと。そう、自分たちがこれだと信じてやってきたものを発信し続けているからなのだろう。そこが彼らのすごさだと感じてしまう。流れに乗るのではなく、流れを生み出そうとしてきたからだ。バンドのイメージについては、The Beatles、The Whoといった、イギリスのロックバンドばかりを好んで聴いており、日本語でグッとくる歌を作りたいと思った時に、シーナ&ロケッツみたいにかっこよく、そしてRCサクセションのようないでたちを抱きながらも、もっとスタイリッシュにというところで、モッズという形が新しいと当時は感じたらしい。常に魅力的なバンドで、突き抜けたバンドでありたいと今でもその思いを語る。メンバーの関係性については、「俺がソロでだったら絶対出来ないと思う。文句を言いながらも、田舎の自転車屋とかタバコ屋の夫婦と一緒で、喧嘩しながらもうまくやっている。そういうところにお互い逃げ場があるから。バンドってどちらかというとファミリーに近いよね。」と加藤ひさし。「でも、最近はあまり物を言わないかな。成り行きにまかせて行かないといけないかなと。自分達でも判っていることもあるから。あえて言わないように。そこは自分のテーマでもあるんだよね。」と古市コータロー。お互いの表現の仕方は違えど、バンドとしての信頼感が強く感じ取れる。ライブステージについては意外な事に、プロデューサー的な役割が古市コータロー。「俺、結構考えてるからね。リハーサルしている時も、自分のプレイよりアンサンブルとか曲の流れとかに脳が専攻しちゃってるから。照明だったり。」と語る。一般的に想像してしまうのは、ボーカルが見せ方をいろいろとイメージしながら、ステージングを構築しているものと思うのだが、あえて皆はそのことに関しては口を出さず任せているそうだ。お互いに意見の食い違いもなく、うまくバランスが取れているのだから面白い。ぜひそのこだわりぶりをライブで確かめて見て欲しい。最後に1月29日、30日とワンマン2デイズを行うにあたり、意気込みのほどを聞かせてもらうと、「ここ数年、本当にQueからライブがその年の幕開けで始まるというのが恒例だったんだけど、今年はツアーのファイナルが新年のAXになってしまうので、暦的には年の始まりのライブではないんだけども、俺らの中ではAXはツアーの締めなので。年の始まりはやっぱりQueなんですよ。だから、そこから新鮮な気持ちで、2011年が始まるぞというメニューを用意してやれればいいなとすごく思ってます。新曲とかもやりたいし。そういう気持ちですね。」とコメント。すごくうれしいお言葉を頂いてしまいました! もうこの2デイズは見逃せないこと間違いなし! 2011年のTHE COLLECTORSには目が離せなくなりますよ!

    原:まずはおめでとうございます! 活動25年目を迎えるコレクターズですね。 早速ですがまず、2011年の大きい目標は何かありますか?

    加藤:25周年だから大きなことやりますよ。

    二位:4月からクアトロマンスリーもやりますね…。

    加藤:日比谷野音もやるよ。あっ、小さくてもCLUB Queはありがたいですよ。

    二位:いやいや、こちらこそです。お客さんも従業員もかなり楽しみにしてますから。野音はさらに楽しみですね。ところでありきたりですが、影響を受けたバンドを教えてください。

    加藤:具体的には、中学生の頃は最初ビートルズを好きになって、それからTHE WHOを好きになって、やっぱりイギリスのバンドばっかりを好きになるんだけど、自分が日本人だし、英語で唄っているよりかは日本語でグッとくる歌を作りたいと思った時に、シーナ&ロケッツみたいにカッコよくて、RCサクセションみたいな感じがあって、もっとスタイリッシュでみたいな、そういう具体的なものがものすごくあった。そこで、モッズカルチャーっていうのがあって。それが夜のヒットスタジオとかに出たらものすごく新しいだろうなって。

    二位:ありましたよね。サブカルチャーをロックに持ってくるっていうか、そのカルチャーがあるからロックがあるみたいなものが世の中にありましたもんね。

    古市:昔はあったね。

    加藤:今はもうボーダレスになっちゃってるか。

    二位:今それを出すと、バンドのイメージが特化されちゃうという危険もあるんですかね?

    加藤:そうね。

    二位:それをぶち破れって、若者には思うんですけどね。

    加藤:常にそういうのは魅力的なバンドがやるんだよ。そういう仕事。バンドが面白くなれば、そういうバンドは突き抜けてくる。そういうバンドに成りたいなと思っているだけで。今でもそう思ってますよ。

    二位:コータローさんは色んな才能がありますよね~。映画とかもやってますけど…。

    加藤:いいよなー、俺も出たいよ。コータローくんは映画向きだよね。

    古市:いやいや、とんでもないですよ演技なんて。

    二位:この前、偶然ヌンチャクを回している映像を見つけたんですけど。

    古市:あー!

    二位:結構やってたんですか?

    古市:小学校の頃ね。結構うまいでしょ。

    二位:うまい! うまいんですよこれが。

    加藤:子供の頃に覚えたのって忘れないんだなー。

    古市:そうなんだよねー。

    二位:それであんなに出来ちゃうんですか?

    原:そんなにすごいんですか?

    加藤:ヌンチャクもうまいけどエマニエル夫人の唄だってうまいよ。

    一同:えー!?(笑)

    原:コータローさんは、ジャッキー・チェンとかが好きだったんですか?

    古市:いや、ジャッキー・チェンはもう後の頃で、バカにしてましたね。

    二位:そうですよね。原の世代(31歳)はジャッキーなのか。

    加藤:俺たちはブルース・リーだよね。

    二位:俺ら世代まではブルース・リーで、ジャッキー・チェンはなんか違うなって思いましたね。

    加藤:コメディー映画になっちゃったよね。ジャッキー・チェンの時はね。

    古市:そうそう。逆に怒りが込み上げてきちゃいましたね。

    加藤:俺もそうだった(笑)

    古市:茶化すんじゃねーよ、この野郎って。

    加藤:ブルース・リーがあんなに拳法を神聖に見せてくれたのにね。なにお笑いにしやがってみたいなさ(笑)

    二位:そう思いましたね。ミスター・ブーとか、ヒドイなこれって(笑)

    加藤:そうだよね(笑)

    二位:でも、後からブルース・リーを観ると、あの人たち出演してるんですよね。

    古市:そうそう。演技指導してるのミスター・ブーだし。

    加藤:そこに絡んでいた連中が映画を牛耳ったんでしょ。

    古市:だから、新しいシーンってそうなるんだよね。

    二位:ブルース・リーって70年代じゃないですか。その時代って今よりずっと尖がってたイメージがありますね。

    加藤:もちろん。世相がそうだったしさ。

    二位:またそういう時代が来ると思います?

    古市:そろそろカッコいいバンドとか出てくるんじゃないの?

    加藤:どうなんだろうね?

    古市:そろそろ出ないとさー。

    加藤:だけど、新しいスタイルなんてそんなに出てこないよ。

    古市:分からないよー。でも出尽くしちゃったって言ったらそうなのかなー。

    加藤:コータローくん考えてみてよ、俺たち89年位にマンチェスターシーンでストーンローゼスが出た時にすっごく新しく感じたけど、彼らの初期の写真を見ると、ローリングストーンズの初期の写真やオアシスの写真と見比べても大して変わらないよ。最初にもうビートルズとローリングストーンズがロックンロールはこういう形って作っちゃったんだよ。

    古市:そうね。

    加藤:そこからはみ出さないんだよ。形が5つくらいあってさ。飽きられた頃に他の4つが出てくるんだよ。それが、なんとなく新しく感じてしまうんだよ。

    古市:そうだなー。大体焼き直しなんだよな、新しい時って言っても。

    加藤:感じるものがね。最初から完成されてるんだろうね、ロックンロールは。

    二位:ストーンローゼスあたりとか聴いていました?

    加藤:聴きましたね。

    古市:聴きましたよ。

    加藤:あの頃は、流行っていうのがあったじゃないですか。ムーブメントみたいなものが。マンチェスタームーブメントみたいなものが。それはまた大きい流行だから聴かない訳にはいかないじゃない。

    二位:大きかったですよねー。ローゼスが2枚目出してザワザワしてたり、ちょうどQueが出来たくらいだから、凄い影響を貰いましたね。ニルヴァーナのカートが自殺した頃ですか。

    加藤:そうなんだ。あの頃のマンチェスターは凄かったね。

    古市:短命だったけどね。

    加藤: ニルヴァーナはグランジを作るしさ。そうやって、皆が大きく注目するシーンって言うのは何年かに一度はあったから皆が真似したし、CDは売れたし。でもそれが段々と小粒になってきてね。

    古市:その頃が、渋谷系だね。

    ==============================

    二位:加藤さんの詩は「青春ミラー」とかイメージが湧く言葉がドーンと出て来る感じなんですけど、そういう詩というか言葉はどういう時に思い浮かぶんですか?

    加藤:歌詞は本当に苦手でね。そのワードが出てくるまでが大変。「青春ミラー」って言葉が出れば早いんだけど、誰も唄わないようなことを探してくるのが本当に大変で。

    二位:どっちが先なんですか、曲と詩と。

    加藤:必ず曲が先ですよ。それに自分が見つけてきたモチーフの歌詞がどの曲に当てはまるかなと。なんとなく70%くらい出来ている曲がいっぱいあって、それに対するイメージとかがあるんだけど、たまに外れることもあるけど、はめてみたら意外と面白いっていう。

    二位:でも、加藤さんが詩が苦手って意外ですね。

    加藤:自分の事となると、自分の実力以上のものを見せたくなるんですよ。ええかっこしいだから。周りが一番いいと言ってくれないとジャッジできない。

    二位:なるほど。素晴しい事を生むのに苦労する分、得意というイメージにはならないんでしょうね。深いですねー。奥深すぎです。ところで青春ミラーのイントロの、やたら印象に残るフレーズは?

    古市:一番最初にあったね。

    加藤:それは僕がもう頭の中で、想像した時にディレイで演りたいって。

    古市:とにかくディレイっていうのがまずあったんじゃない?  ディレイとミラーがキーワードにあったんだろうね。その辺のイメージを勘でプレーしたかな。

    加藤:曲とタイトルがピタッときたっていうのは嬉しいよね。

    原:バンドマンとして、今までの変化だったり、現在の状況を聞かせてもらいたいなと思うんですが。

    加藤:それはやっぱり変わったよね。

    古市:俺たちにとっては、周りが演らせてやるよっていう態度から、演ってくださいに変わったね。

    二位:なるほど! どのタイミングですか? これは若いバンドにも聞いてほしい話ですね。

    古市:10年ちょい。90年初頭までは、俺たちより割とライブハウスなんかが偉かったよね。

    加藤:いや、ライブハウスだけじゃなくて皆偉そうだったね。テレビ局もそうだし、雑誌もそうだし。雑誌はもう小さいところは別にして、大手は載せてやる、インタビューさせてやるで、テレビ局は顕著で出してあげる、カメリハ2回やります。本番とちりました。全部お前らのせいだろって。若いときはここでミスった自分が悪いんだと思ってたけど、文句も言わずにしょうがないと思ってたけど、途中から演奏しなければ放送できないんだなってことを覚えて、途中でボイコットして止めてもう1回最初からやりますって。

    二位:演りきっちゃうから放送されちゃうって話ですか。バンドの成長で環境が変わるって話ですね。

    加藤:そうそう。そういうことを覚えるための20数年だったような。世の中の関わり方が上手くなる。社会人と一緒だよ。この人には強く出れるとかさ。そういうのがあるし、「やらせてみせて誉めてあげねば人は動かぬ」って言葉もあるじゃない。

    二位:なるほど。

    加藤:全てに対しての係わり合いの距離とかスタンスを覚えたね。これはもう全てに通じるんじゃない。夫婦もそうだし。

    二位:でました。大きい問題です(笑)

    古市:でも、メンバー間でそういう駆け引きをやるのは正直疲れるし、かったるいかな。

    加藤:コータローくんはそう言うけど、俺は駆け引きのないソロは絶対出来ないよ。

    二位:とは?

    加藤:「自分ひとりで自由勝手にやりますよ」 って言ったら、当たるところがないから全部自分に跳ね返ってくる。だから人のせいに出来ない訳よ。メンバーでぶつかって、かったるいと言っている方がまだいいね。逃げ場があるから。ひとりだったらそれ言えないからね。

    古市:俺はソロの経験があるけど正にそう。バックメンバーがいても全部自分がかぶるからね。それはもう2回体験済みだから。

    加藤:だから文句の言い合いも、田舎のタバコ屋や自転車屋と一緒でさ。

    二位:あーなるほど! 文句言いあいながらも、上手くいっているという感じですね。

    加藤:そうそう、お互いにそういう逃げ場があるからさ。やっぱりいい。現実はそうじゃないって言う人もいるけど、バンドってファミリーに近いじゃないですか。よく言えば。だから、上手い人、才能ある人が集まってやれば上手くいくかっていうとそうでもないじゃない。歴史も語ってるよ。 二位:それは、よく打ち上げでも出る話ですね。才能だけしかないバンドは良く、たわいも無い事でもめてますね。

    加藤:そう。よくバンドの中で誰かがやり玉に上がっているよね。あいつが頑張ればもっと上にいけるとかさ。でも、それを言っているうちは健康の証拠。何にも言わなくなったら、それはそれでやばいよね。

    古市:ウチ最近、それに近いんじゃない(笑)。 間違ったところはやんわり言うけど、他はもうあんまり言ってもお互いよくないなって。成り行きに任せなきゃいけないところもね。前はそうなるのが嫌だったから、かなり言ってましたけどね。

    二位:それは各自で克服しようというながれですか?

    古市:もうさすがに皆、自分の問題だと思ってもいるからさ。そこは自分自身のテーマでもあるんだよね。

    二位:皆そうでしょうけど、20代って必要以上に完璧を目指しますよね。

    加藤:ねえ! コータローくんも俺も青写真が出来てたもんね。もう小奇麗なモッズファッションしててさ、ネームバリューも出てきて! 楽曲を演奏するっていう自信に満ち溢れててね。そういうのを頭の中に描いてさ。ところが途中から渋くなったりするんだよ。それがズルズルいって、もう修正が出来なくなる時がくるんだよね。外れてしまうと、幾通りの道が出来ちゃうからさ。

    二位:あっちにもこっちにも行けるような。

    加藤:そう。ただ自分が思い描いてたルートはもう断たれてる。

    二位:おそらく誰もコレクターズに道が断たれたとは思わないと思いますが…? 大筋揺らがず、時代の流れをくみながら上手くいってるバンドに見えるんですけど。

    加藤:えっ! 俺らが? 全然そんなことはないよね。渋谷系にも属さなかったし、バンドブームにも乗らなかったしね。

    古市:バンドブームの時は明らかに嫌だったけどね。

    加藤:まあ、ちょっと機転の利いた頭のいい奴だったら、それを利用して乗っかるっていうこともできたわけじゃない。 原:イカ天の話とかなかったんですか?

    加藤:だってもうデビューしてるもん。

    古市:笑って見てたよ、裏があるのになって。

    加藤:ブルーハーツと同期だからさ。彼らがバンドブームを作ったあとから、イカ天が流行りだしたじゃない。その頃はもう、デビューしてアルバムを作ってたから。今更ね。

    古市:渋谷系は乗ろうと思えば乗れたかもしれないけどね。

    加藤:モッズで60年代フィーリングでやってきたわけだからさ、そこで自分たちなりに考えて、ちょっとソフトなロックを演れば乗れたかもしれないけど、あの男気の無い感じが嫌だったね。最初からバンドマンだったから、ガッツ溢れるほうが最初にあったから、物足りないなっていうのはあったね。ただリスナーにしてみれば、俺らは暑苦しかったと思うよ。

    二位:暑苦しい?

    加藤:ピチカート・ファイヴとか聴いている人たちからすれば、洒落てるんだけど暑苦しいって。 二位:ロックンロールだな! という事ですね。

    加藤:でもよりロックバンド然としている人たちからすれば 「洒落やがって」 ってことなんだろうね。

    古市:そうそう。

    二位:というかブームの主流みたいなものには、あえて乗らなかったんじゃないですか。

    加藤:乗る気が無かったね。正直言えば、もっとそういう種を蒔いていた気でいたのよ。でもその割にはいつまでたってもその辺が封印されているんだよね。まぁ、最初にやる人は報われないもんね。

    二位:わかります。先駆者より二番煎じのほうが売れたりします。最近はどう感じますか?

    加藤:最近そういうブームが無くなったじゃない。だから何とも思ってないね。

    古市:ミッシェルガンエレファントが出てきた後から、スーツを着ている人たちを何とも思わなくなったね。

    加藤:ミッシェルは俺たちのスタイルとは、ちょっと違うしね。

    古市:それまではスーツ着てるだけでシンパシーを覚えたりしたんだけど。もうそれだけで仲間だったっていう意識は無いかな。

    加藤:前は格好でね、ちょっと 「近寄れる部分があるかな」 とかね…思ったね。

    二位:それは多岐に渡ってありますよね。TVや雑誌でいいと言われて観にいったら、バンドが全然面白くないとかもそれに近い話じゃないですか?

    加藤:雑多になったというか、よく言えば気持ちがフラットになって過去の事にもとらわれなくて、自由に表現できるようになったと言ったらなったかもね。

    二位:自由に表現できる、いい時代ってこと?

    加藤:いや、でも辛いね。何でも好きなことやっていいよって人に言ったら、案外困っちゃうと思うんだよ、持て余しちゃって。何も出来ないと思うよ。

    二位:不自由だから、できる事があると。

    加藤:そう、不自由だったり、時代のウネリがあったほうが、それに対してアンチも生まれるし、時代がウネッていたほうが、誰がどこ向いているか方向が分かるんだもん。だから逆を向かせることも出来るし。みんながバラバラな方向を向いてる時に、一方向を向かせるのは難しいよ。

    二位:実は今の方が、シビアな現実感の方が強いんですかね?

    加藤:そうだね。俺たちのガキの頃のほうが大人っぽかったな…。夢を見るっていう所では、今の子たちよりは子供だったけどね。

    二位:なるほど。

    加藤:そういえば、ファーストアルバムを出すって言ったときは、コータローくんと心配したもんね。俺ら1位になったらどうしようって。これはうかうか牛丼食っている場合じゃないよって。ね~。(笑)

    古市:ところが、キヨスクでオリコン買って、あれおかしいなって。載っていないと。

    加藤:もういい曲をやれば何でも売れると思っていたし、自信に満ちていたから。

    原:その頃は現段階の事まで考えてたりしたんですか?

    加藤:考えてないよ~(笑)。何十年後でしょ。

    原:バンドのイメージは?

    加藤:辞めてるっていうのもシュミレーション出来てなかったし、続けているってこともシュミレーション出来てなかった。想像できないね。だから、特に20代の頃なんてもう元気いっぱいだし、体も凄く動いてたし心配することなんかなかったね。

    原:今やるべきことをやるという感じですか?

    加藤:やりたいことをやったって事かな。

    二位:ずっとやっていて、バンドの外側に対して、すごくムカつくこともあったんじゃないですか?

    加藤:それはもちろん。

    古市:宝島とかね。

    加藤:あー、宝島はムカついたなー。

    二位:何があったんですか?

    加藤:あのね、メジャーデビューが決まってたんだけど、その前にインディーズ盤を録ってて。それがもうメジャーよりも先にまず出さなきゃいけないと。俺とかコータローくんの金で自主で原盤を半分出して、向こうのインディーのレーベルも半分出してっていう話になっていたから。また出来もすごく良くて。それと同じころにもうメジャーデビューが決まる感じになってきて、そしたら外側が急に注目し始めてきてね。レコーディングし始めた頃は誰も注目してなかったのに、後半に色々出てきてさ。宝島が作ったキャプテンレコードってのが、インディーレーベル界では初めて地位を確立したみたいな頃ね。次から次へとインディバンドを出したくて探し回ってた時に、ちょうどネオGSとかコレクターズみたいなのに引っ掛かってきたのよ。次のネクストジェネレーションでこれは面白いんじゃないかと。コレクターズのライブも中々いいしと。それでキャプテンから出さないかって言ってきたの。本当はそのキャプテンレコードから出してた方がレーベルがでかいから良かったんだよね。でも、俺とコータローくんは義理堅いから、最初に絡んでたレーベルのミッドサウンドから出そうって言って断ったのよ。それが筋じゃない? そしたら断った瞬間にキャプテンレコードから電話がかかってきて 「いいよ、これから宝島には一切コレクターズは出れないから」って。

    二位:えっ、そんな台詞があったんですか?

    加藤:もう、その捨て台詞を聞いて。こっちも「 いいよ上等だよ」 って。

    二位:へー!

    加藤:っていう事がありましたね。事実です。だから、コータローくんにも相談したよ。こういう話がきたんだけどって言ったら 「いいんじゃない」って。

    二位:凄いなー。

    加藤:まぁ、そういうのがひとつあって。その後もやっぱりあるよね、力関係みたいなのが。

    二位:しかし、長くやっていく為には義理みたいなものは大事ですよね。

    加藤:義理は本当に大事だよ。一番大事だよ。

    二位:最終的にそこになりますよね。

    加藤:最終的には。だって一番辛い時とかにさ、一番助けてくれる人はやっぱり裏切れない。いや、だから本当にそういう人は大事にしなきゃと思ってますよ。でも、そこに価値観が無い人も沢山いるからね。そういう人とは、そういう人なりのお付き合いしか出来ないよね。

    二位:そうですね…。メンバー関係は最高にみえますが、長いと実際どんな感じなんでしょう?

    加藤: 逆にメンバー同士は本当に家族なんだよ。会えば楽しい事もあるんだけど、やっぱり続けていくと、相手の気に入らない事も沢山見えるし、年がら年中それのやりあい。ただ本当に面白いのは、俺は面白いなと思うけど、リハーサルスタジオに入って音を出すと気持ち良くなっちゃうんだよね。晩酌始まっちゃった親父みたいな。そういうのないのコータローくんは?

    古市:俺は結構考えてるからね。

    加藤:コータローくんはシビアかもしれないね。

    古市:リハーサルしている時も、自分の演奏よりも周りのアンサンブルとか曲の流れとの事とかを専行しちゃうから。自分のプレーとかは後回しになっちゃうね。照明だったりとかさ。

    加藤:そうだね。コータローくんがライブにおけるプロデューサーなのよ。セットリストもコータローくんが決めるし。そこに俺がたまにこんなのも唄いたいねって言うと、今回はいいんじゃないとか、そのアイディアが面白ければここに入れようかっていう話になるし。だから逆に俺はそういった意味ではあまりライブの流れとか見え方が分かってないの。出方とかさ。

    二位:昔からずっとそうなんですか?

    加藤:俺はずっとそう。そこに出て懸命に唄うだけ。

    古市:それでギャラ貰うだけ…。

    一同:笑

    古市:でも、コレクターズはそれで良いと。ボーカリストでも自分でイメージ膨らまして環境まで作り込む人もいるけど。

    加藤:俺はそこは本当に見え方、出方が分からないから。コータローくんには悪いんだけど、コータローくんがいろいろ照明の色とか変えて良くしてるって言うんだけど、正直俺はどう変わったか全く分からない。

    古市:本当に…? 映像担当なんだからお願いしますよ。

    二位:気にならないってことですか?

    加藤:気にならないって言うか、その…、照明に関しては全く音痴なんだろうね。自分が唄うことに関することと、そこで自分のボルテージが上がっているかどうかで、それ以外は考えないかな。光がどう当たってるかなんて見えないんだよ。

    古市:まぁ、それがいいと思うよ。そういうアーティストじゃないから。

    加藤:コータローくんが「今日ピンスポが遅れたよ」って普通に言うんだけど、全然分かんなくて。「もう一歩前に行かないと上からサス(演者当ての照明)があたらないよ」って言われてもね…。

    一同:笑

    二位:そういうキャラクターとか性格的な部分でも、コレクターズって4人のバランスがすごくいいですよね。加藤さんは演奏に関してはキビシそうですよね。

    加藤:演奏はやっぱり分かるよ。そんな大事なところでミストーンしたら駄目じゃないっていうのは。

    古市:唄いやすさに直結するから。

    加藤:それはもう、機嫌の悪いときは楽屋に戻ってアンコール前にはしっかりしろよって話になるからね。それは仕事だからね。厳しいことも言いますよ。でも、演出面では俺は全く分からないから、運営面でも本当にコータローくんは家計の紐を握っている女房みたいな感じで、俺は小遣い貰ってるみたいな。

    二位:なるほど、上手い表現ですね。

    加藤:演奏以外は本当に分からないから。コータローくんには何度も言っているけどね。出るタイミングとか照明とかなんだとかさ。

    古市:出方とかにしても、基本的には後から出てきてもらうんだけど、スタートの照明とかで打ち合わせが出来てない時もあるじゃない。そうすると、真っ暗な中でお客さんに向かって手拍子して出てきちゃってるんですよ。

    一同:え~(笑)

    古市:「あー、説明するの忘れたー」っと思って。全然照明が当たってないよって。

    加藤:そういうのが分からないのよ。コータローくんはそういう事を分かっているから、照明が当たってからお客さんに手拍子でしょって。俺は分からないから先に出ちゃうんだよね。

    =============

    二位:そういえば、ポットキャストめちゃくちゃ面白いじゃないですか。みんな話題にしてますし。

    加藤:そのうち二位さんも出るよ。

    二位:いやいや(笑)。その~、バンドを…っていうか25年連れ添っているわけじゃないですか。きっと散々話していると思うんですよね。それでも何で次から次へと話題が出てくるんですか?

    古市:その理由は、よくわからないんだよね。これね。

    加藤:何か面白い事に遭遇するもんね。

    古市:フラワーカンパニーズがツアーの移動中に聴いてるとか言ってて、というかフラカンは移動中にそれしか聴いてないみたい。

    加藤:いやー、だからさぁ、退屈させちゃいけないなと思って。

    一同:(笑)

    加藤:これ聴いてね、あいつらも頑張ってもらわなきゃね。

    二位:その出来事がもう一つのネタになってますもんね。そういう部分にというか、他のバンドの活動にもちゃんと意識がいってるからかな?

    加藤:でも面白いもんで、何か狙っている訳でもなんでもなくて。番組としてはなんとなく、俺もコータローくんもラジオをやってきた経験があるから、それなりには話すけど。でも。何年も前からコータローくんと居酒屋で二人でゲラゲラ盛り上がった話をしているだけで。

    二位:いや、それが凄いですよ。

    加藤:でも画期的だったね。

    二位:2~3本だったらわかるんですけどね。

    古市:そうだよね。100本だもんな。

    加藤:しかも全然台本ないからね。

    二位:行き当たりばったりですか?

    加藤:そう。いきなり喋り始めちゃうしね。でも、あんまり気にしない方がいいなと思って。つまらなくなったら辞めればいいし。

    古市:あそこは本当に気にしない場だよね。

    加藤:気にしたらダメだ。

    古市:ダメなら切っちゃえばいいしさ、変な話だったらね。話がエスカレートしちゃうしさ。暴走しちゃって。

    加藤:普通に放送できないような話とかもしてるんだよな。もう政治的な話とかさ。

    古市:ねずみ講問題とか話したりとか(笑)

    加藤:もうとんでもない話になるから。ほんとに。

    一同:(笑)

    二位:そこが聴けるからまた面白いんですけどね。規制が多い電波では聴けないものが。

    加藤:話がでかくなるけど、ジョン・レノンがあれだけ尊敬されるっていうのは、彼はポップスシンガーってだけじゃなくて、割とそういう生き様みたいなところを表に出したじゃない。それはデフォルメされている所も沢山あるとは思うんだけど、ある種ポロッとさ、俺たちがポットキャストで言ったことじゃないけど、それまで言わなかった本音や弱いところも出すでしょ、ああいうところが良いわけじゃない。ロックなんじゃない。

    二位:ロックって音だけじゃ留まらなくて、人間性をね…それを好きになりますもんね。

    加藤:だから僕もコータローくんも腹はくくっていて、俺たちがやってきた事はもうロックな感じ。音楽だけじゃなくて生き方や考え方とか。でもそれっていうのは活字にしたら、全部カッコいいっていう訳ではないんだよね。すごくダサい事もいっぱいある。それも含めてカッコいい。ナチュラルに生きてこうなっているっていうのが、俺の中では一番理想的だし、作られ過ぎた芸能のシーンとはまたちょっと違うところで、そういう連中が活躍できるっていうことが、次の世代にもすごい橋渡しになると思ってるから、それこそコータローくんと馬鹿なことも言い始めてるし。でも音楽はちゃんとしっかり頭の中で鳴っていて、すごくアカデミックなことをやってみたいなとは思っている。でもそれは人間だったら絶対あるじゃない。それを全部出したい。

    二位:俺も大賛成です。ロックってもっと露骨でいいと思うんです。いつからかスターは雲の上の人みたいな風潮もあったりして。

    古市:昔はね。

    加藤:昔のアイドルは正にそうだもんね。異性と付き合ってはいけないし。今じゃそういうのもすぐ発表するし、ガキはつくるし、結婚する、離婚はする、本を出す、シャブはやる、また本を出すみたいな。

    一同:シャブ~!!(笑)

    加藤:でも、それでいいんじゃない。

    二位:時代が変わってきてるんじゃないんですか。

    加藤:時代は変わってる!

    古市:変わったよ。

    二位:松本さんは、どういう経緯でマネージャーになったんですか?

    加藤:もともと、コロムビアレコードだったから。そこのレコード会社の人間としてずっと携わってくれてて。

    松本:コレクターズのコロムビア終了宣言があって、その年に僕も。別にそれだけの理由じゃないんですけど。他にピチカート・ファイヴもやっていて、それがマネージャーを探していて誘われたので、コレクターズもコロムビアを辞めるんだったら、じゃあ一回メーカーを辞めてマネージャーやろうかなと。その間は3年位かな、コレクターズのライブをたまに観にいく程度で。

    加藤:そうだね。あんまり会わなかったね。

    松本:それで、ピチカート・ファイヴが解散してすることが無くなって。で、バッドミュージックの宣伝の手伝いとかをやっていましたね。それからワーナーに入って、ちょっと居づらいなと思って、またコロムビアに戻って、その時に加藤くんからアルバム出したいんだけどっていう相談を受けてまして。

    加藤:そしたら、松本くんがコロムビアに戻ってたんで、じゃあ過去のアルバムがもう廃盤みたいになっちゃっているから、それをちょっとボーナストラックに入れようよっていうプランをくれたんで。で、本当にたまたま会った時にそれを言われたんでね。それが案外売れて。その後に新譜を出したんだけど、それからまた繋がりが出来たんです。

    松本:それからまた、コロムビアを辞めたんです。

    加藤:時を同じくして、俺たちも前の事務所とすったもんだして、それでお互い相談してどうしようかと。

    松本:そう。実は俺辞めるんだと話したら、こっちも大変なんだよっていう話で(笑)

    二位:あー、それでもう意気投合(笑)

    加藤:もうお互い寄り添って生きていきますかって(笑)。そこで二人でプラン練って。コータローくんもそういうのは詳しかったから。

    二位:偶然にしては絶妙ですね。

    松本:最初は、もうおっかなビックリで始まったんですよね。

    加藤:それはもう、こっちはやるしかない状況だったからね。松本くんも今のレコード会社の状況はどこも同じだから戻る気持ちもないって言うんで。

    古市:それで、Queの2デイズをやったんじゃない。

    加藤:あっ、そうだ。まず給料どうしようかって話で、コータローがQueで2デイズって言って。

    加藤:それで、まあ最初から気心しれている中だから、もう俺たちの悪いところも全部松本くんに言って、松本くんの「全部は引き受けることは出来ないよ」っていう話も聞いて。もう社長と従業員の関係じゃなくてやっていこうよと。運命共同体ですね。

    二位:いい関係ですよね。

    加藤:でも、もうそうやっていかないとやれないんじゃないのかな。他のバンドも。

    松本:自分もこのバンドを、俺のモノって抱える気持ちもないし、個人でやっているんだったらやれるだけやって欲しいし。

    二位:その…、バンドがマネージメントやメーカーの下に付くってことが多いですからね。

    古市:運営出来ないからね。皆。

    二位:それがひっくり返ったら面白いことになると思うんですけどね。

    加藤:そうだよね。

    松本:バンドが動いているから、事務所がなんぼっていうのが本当じゃないですか。

    加藤:やっぱり、稼いだ分しか皆に渡せないから、そこをしっかり分かっていないとね。ないところで給料をくれって言っても出てこないじゃない。

    二位:給料いくら欲しいよって事じゃなくて。

    加藤:そう。これだけ稼いだんだから、これを皆で分けようよ、くらいしか出来ないじゃない。そういう腹のくくり方を、ちょうど前の事務所が2002年位に終わった時に、コータローくんはそういうことにも詳しくて、よくやってくれて。だからやってこれたのかな。変な話だけど、そこでコータローくんに教わったのは 「バックのいいライブハウスで演らなきゃ駄目だ」っていうのも言ってたしさ。でも、それは重要だね。そういうのを学んで、闇雲に色々なライブハウスで演ればいいってものでもないし。

    二位:呼ばれたから、という訳にはいかないですよね。

    加藤:いいところは大事にしていかないといけないしね。

    二位:いやー、いい話が聞けました。

    加藤:自分で確定申告するような仕事に一回就かないと大人になれないね。サラリーマンの人達も大変だろうとは思うけど、全部一人でやってみて自分がどれくらい稼げるのかを一回はやってみたほうがいいんじゃないかなと思うねー。

    二位:納得します!

    二位:最後の質問です。同窓会とか行ったことあります?

    加藤:行きましたよ! この前。一番浮いてましたよ(笑)

    二位:きっと加藤さん若すぎでしょう! 40歳でも、初老に見える人っているのに!

    加藤:先生なんだか、生徒なんだか分からない時あるからね(笑)。でもさ、なんかさ、この歳になると皆が元気なだけで嬉しいんだよ。

    一同:たしかに(笑)。

    二位:楽しい時間をありがとうございました! これからもぜひよろしくお願いします!

    2011 1/29(SAT) 1/30(SUN)
    "ファンタスティッQue! 2011 ~THE COLLECTORS 2DAYS~"
    THE COLLECTORS -oneman-
    29日>open 17:30/start 18:00 adv \3,500/door \4,500
    30日>open 16:30/start 17:00 adv \3,500/door \4,500
    チケットぴあ[125-971]・ローソンチケット[71355]・イープラス・Que店頭 発売中!

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