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2006.7.14
「夏の和尚さん」
サキノハカ

バンドにとってワンマンとは大事な節目。意味のないライブなどないが、特にワンマンライブはバンドにもお店にとっても、見に来るお客さんにとっても普段とは違う気持ちでその日を迎えるだろう。次のステップに繋がる大事な一歩。今までの成長過程を確認するためにも避けては通れない。今年の梅雨明けはまだせず、じめじめした天気が続いていたが、この日7月14日のZher the ZOOはその嫌な空気を吹っ飛ばすぐらいのすさまじいライブが行われた。会場の入り口にはボーカル鈴木氏のかいた短冊がかざられ、18:30きっかりにオープン。お客さんが続々集まる中、徐々に会場の気温が上がっていく。嫌がおうにも体温が上昇していく。SEのような出囃子のようなCDが鳴り、開演19:30すこしすぎてメンバー登場。この瞬間がたまらない。この期待感は更にあがっていくのに時間はかからなかった。3人のいでたち、鳴らす音、それに呼応するお客さん。この空気感がライブハウスの醍醐味だろう。最近はパソコンもかなり普及してライブ等も生でみれるが、この空気感は伝わらない。メンバーが入れ替わり初のワンマンになったサキノハカ。ボーカル鈴木氏の訴えかけるようなボーカル、それに呼応するリズム隊。全然否定的な意見ではなく、やはり人間が演奏するのだからその空気、テンションでステージングも変わる。今日のサキノハカの3人はこれでもかっ! というぐらい見ているこちら側に訴えかけてくる。ホールをみているとお客さんもドンドンそこに引き込まれていく。逆にライブの途中にはいるMCは、彼らの人柄を表すとてもアットホームな雰囲気。少し照れくさそうに話す鈴木氏。このギャップがよりライブにおける彼らの威力を倍増させている気がする。もちろん本人達は全く意識はしていないだろうが。今回は2部構成、1部の終わりにドラムのトモくんのコーナー。ここで少しホッと一息つく。そして第2部開始。前の2人は衣装もチェンジ。さらにたたみかけて来る3人。アンコールも入れて約2時間、アッという間に終演になった。このバンドの魅力でもある静と動。一気に爆発する瞬間。切ない歌詞。爆音で鳴り響く彼らの頭の中の世界。全てを出し切り伝えきった彼らの次のステージが楽しみだ。 [文/安斎昌晃]


サキノハカ
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