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2007.12.7
「NCN ~NACANO,tokyo pinsalocks TOUR FINAL~」
NACANO/tokyo pinsalocks/sphere

年の瀬ムードが少しずつ広がる中、熱いものを持った3バンドが冬の寒さを吹き飛ばしてくれる。最初に登場したのは「sphere」。ドラムがバキバキと叩き出す三拍子の激しいリズムに、芯のあるベースの音と12弦ギターの重い和音が乗り、ぶ厚い轟音となった。赤や緑の幻想的で野生的なライトがめまぐるしく光る中、他の楽器たちのリバーブのかかった深遠さのあるハスキーボイスが響く。柔らかいポワポワとしたシンセサイザーの音が「激しさの中に垣間見る優しさ」という感じで趣がある。ボーカルにほとんどメロディーはなく、吠える感じだ。人のいちばん奥にあるものや秘めた思いを吐き出すかのような深さを感じさせてくれた。次に登場したのは「tokyo pinsalocks」。中国の人民服を女の子らしく、かわいく味付けしたようなオリエンタルな衣装をまとい、笑顔でライブを開始させた。ステージの真ん中には直径30センチほどのちょうちんが置いてあり、ムードを際立てている。ポップでキッチュな打ち込みの音やマイクロコルグの音、ヒュアヒュアと宇宙的なエフェクトのかかった声には近未来的なものがあり、ワクワクさせてくれる。アグレッシブに体を動かしながら弾くハッキリとしたベースの音、女性らしさを備えつつも勇ましく鋭く支えるドラムがロックを感じさせる。あっさり曲が終わるのも潔くてキッチュで、彼女らにハマっている。彼女らはイギリスツアーを終えたばかりということで、外国人のファンも多く来場しており、チークダンスを踊る外国人カップルや「オドリマショーウ!!!」と叫ぶ外国人ファンなどで、客席はお祭り騒ぎになっていた。東洋っぽさを前面に出しているところも外国の人にとってとても興味深いはずだ。来年はボストンでのフェスに出場するという彼女たち。これからも世界を股にかけて突き進んでいくことだろう!最後は「NACANO」。「N・A・C・A・N・O、GO!!!」と繰り返しながら、勢いよくライブが始まった。すぐに観客たちも引き込まれていく。ストレートなロックサウンドと、芯のある歌声がとても心地よい。ぐいぐいと引っ張っていくボーカルだ。楽器隊にも負けない勢いがある。効果的な打ち込みのシンセ音、音の隙間にうまく収まっているボンゴやカウベルの音、ノイズのようなギター、真っ直ぐなビート、全てに無駄がなく素直で清清しい。「クラップ ユア ハンズ!!!」と観客を巻き込み、どんどん盛り上げていく。笑いを誘うMCも観客に親近感を抱かせ、さらにさらに盛り上げる。熱く盛り上がる客席とステージの中、NACANOの紅一点・ベースのYOSHIKO氏が黙々とベースを弾く姿もまたクールで印象的。YOSHIKOのコーラスの声も効果的だ。本当に気持ち良く突き抜けた、一度聴いたら聴かずにいられなくなるような音楽だった。来年はいろいろなイベントに取り組みたいというNACANOに期待大!だ。せわしなく流れる師走の空気の中にあっても、しっかりとそれぞれのリズムを刻む3組が集まった、充実のライブだった。 [文/菅 真由子、撮影/wachy]


sphere


tokyo pinsalocks


NACANO

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