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2008.3.9
Zher the ZOO 3rd.Anniversary ~On the World~
「LIVE!LIFE!!STYLE!!!!」
Theピーズ/毛皮のマリーズ/LINK

春の訪れを感じさせる今日この頃だが、Zher the ZOOでは早くも夏を先取りするかのごとく熱いイベントが行われた。スタート直前の会場は満員の観客たちが発する期待と熱気におおわれていた。ロックンロールなイベントらしく、動きやすいスウェットやTシャツ、または革ジャンを着た観客が目立ち、観客たちの意気込みが感じられた。そんな中、ステージに最初に登場したのは「毛皮のマリーズ」。出てくると間髪入れずに、ラウドで芯のある、むしろ芯でできているようなギュッとした音を奏で始めた。リズムに乗りながら心底楽しそうに歌うボーカル・志磨遼平氏。時には勢いあまってマイクを食べたりしつつ「バンバンバン!ババンバーン!!」と歌う彼の姿を見て、観客たちは自然と笑顔になっていた。全員が思い思いに動き回りながらロックなサウンドを叩き出していくので、ステージ全体が躍動感に包まれて生き生きとしている。客席にダイブしたりとノリノリの志磨氏は途中で「イイよ!今日イイよ!!!」と他のメンバーに向かって語りかけていた。それは「観客たちがこんなに楽しくなれるということは、演奏している彼ら自身もとても良い感じで演奏できているということなのだ!!」と実感させるひとコマだった。演奏終了後すぐに退場する姿も潔く、観客たちの中に心地良い余韻を残してくれた。次は今日から3ピースになったというパンクロックバンド「LINK」。ステージ前には首にタオルをかけた戦闘体制の若者たちが集まり、LINKの登場を待っていた。柳井氏の低くて安定した声と小森氏の高めでハリのある声が合わさり、美しいハーモニーとなって観客たちの胸を打つ。ダークダックスなどのコーラスグループを思わせるような美しいハモリと、ノリのよいパンクなサウンドが合わさって絶妙な気持ち良さを生んでいた。ステージ前は若いファンたちがダイブをするなど大騒ぎ。手数が多いながらも安定したリズムを刻むドラムがすべてを支えていた。最後はベテランながらも少年の心を忘れないロックンロールの「The ピーズ」。LINKの出番が終わった後にステージ前の客層が入れ替わる様子が興味深かった。LINKのファンの若々しさから、ピーズの根強いファンたちの落ち着いた雰囲気へと瞬時に入れ替わった。開始前の音あわせの時点から貫禄を持った輝きのある音を放つ3人。その音に沸く会場。演奏が始まるとすぐにうなり出したアビさんのストラトの渋い音とリーゼントは観客たちをシビれされる。一人ひとりの音が意志を持っているかのようにくっきりとしている。。「最近、前髪が韓流スターみたいだと言われるんだぜ。」「3周年おめでとうごザーザズー!!」とギャグを炸裂させるはるさんと穏やかでアホなMCのムードに観客たちは安心し、笑う。曲が始まると歌いながらもとても安定したベースラインをはじき出してくれるはるさん。MCのユーモアはエスカレートし、放送禁止な下ネタも飛び出す。さんざん下ネタを言い尽くした後に「すいません☆」とかわいく謝る姿がまた楽しい。おじさんたち3人の貫禄と安定した演奏にゆったりと身を委ねながら思い思いにステージを楽しむ観客たちを見て、このバンドへの人々の深く熱い愛情を感じた。ギターのブルージーで切ない調べと赤いライトがマッチし、焼けるような渋みを発していた。楽しみ、輝きながら演奏するおじさんたちのカッコよさとロックに酔いしれたひとときだった。それぞれの良さを持つバンドを、観客たちが全体を通してそれぞれの楽しみ方で見守っていた。楽しさと愛があふれるZher the ZOO3周年にふさわしいイベントだった。[文、菅 真由子/撮影、近藤 成剛]


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毛皮のマリーズ


Theピーズ
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