涼しい会場の中で猛暑による疲れを癒すかのように、落着いたムードで開演を待つ観客たち。そんな観客たちの心までも爽やかに癒してくれる3組が集まった。最初に登場したのは「RAVE」。真っ直ぐに前を向いて「もうこんなことやめよう/好きなことだけしよう」と歌い始めた。中性的でハイトーンなその声は驚くほど美しく澄んでいて、心の叫びのこもった歌詞が耳と心に強くやさしく届く。曲のムードに合わせて様々な表情を見せるドラムがバンドを支える。ラップ的に歌詞を詰めているところとゆったり歌うところ・・・その緩急も効果的に使って思いを伝えてくれた。次は、サイケデリックな音楽に合わせて手拍子をしながら楽しく登場してくれた「ステンレス」。「本人たちがいちばん楽しんでやっている!」ことの証であるかのような明るいオーラと、どこか日本的で心の琴線に触れるメロディーが常にステージから発されていて観客たちを楽しませてくれる。特にベースの斉藤氏が動きながら演奏する姿はテンションや曲調を映し出すかのようにしなやかでコミカルで、ステンレスの明るいオーラを増幅させていた。軽快で楽しい雰囲気の曲の中にも切なさや哀愁が漂っていて、人間の奥深さを感じさせてくれる味わい深さがある。最後は「PLECTRUM」。「フジロックからも無事に帰ってきまして!まあ観に行っただけですけど。無事に帰ってきて。ブジロックということでっ!」とニコやかに発した初めの一言で、観客たちの心を掴んでいた!「僕たちが夏から来た天使PLECTRUMです。この夏はCDとかリリースしないけれど・・・今日は俺たちのすべてをリリースする!」という言葉どおりの力強くピースフルなライブ。圧倒的な安定感を備えつつ細部にもこだわった素敵なドラムが支え、その上でメロディアスで温かい弦楽器の音とカラリとした声が気持ちよく、切ない響きを伴って渦巻いている。激しい曲を演奏した後に「ハァハァ(息切れ)・・とりあえずひとまず、この熱い気持ちをここに置こう・・・」と丁寧に話す姿は、PLECTRUMの品の良さ、人間らしさを体現しているかのようだった。生活のこと、母のこと・・・親しみやすい身近なことを通して芯の部分を伝えてくれる大切な言葉たちを満面の笑顔で歌ってくれるので、観客たちの心にも言葉や音がスーッと染み渡る。人間の温かさや奥深さ、世界の切なさ・・・そんなものが言葉にも音にも爽やかに滲み出ていた、優しくて本当にロック!なライブだった。たとえ日本語の歌詞がわからない人でも、今日のライブを観れば、熱いものを感じるはずだと思うほどに溢れ出るものがあった。 [文、菅真由子/撮影、だるまっち]
|