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2011.1.20
"2012"
J.P.Nayuta/ViVien/戦車倶楽部

1月も下旬に差し掛かり、新春や正月気分も薄れ、既に2011年に感覚が慣れ始めた頃だが、この日、本当の意味で『何か』が始まったような1日だった。何しろ初めて、このライブハウスへの出演、初めての対バン、新メンバーでの初のライヴ、といった"初"づくしのライヴだった。トップバッターは、開始前から独特の空気で会場を支配する戦車倶楽部。ステージセンターには何を意味するのか、4体のフィギュアが堂々と設置されている。開始前から既に始まっている。一音出した瞬間から、バンド自体が色物バンドでは無いという事が、即座に理解出来た。独特のグルーヴ、固定概念に囚われない曲の構成からは、大物の気配を感じさせる。2次元オタクは音楽も本物だと確信した。続いてフロアを盛り上げてくれたのは大阪出身バンド、ViVien。いや、ex.ViVienだろうか。彼らは昨年メンバーの脱退から、ずっと沈黙し続けてきた。久しぶりのステージなのだが、そのような雰囲気は一切感じさせず、練り込まれたステージングに痺れた。MC「僕ら、今日で解散します。」には度肝を抜いたが、続いて「んで、たった今バンド結成します!」発言には心底驚いた。一瞬で2度も心を動かされるのは、そうそう無いだろう。新バンド、THE VILLAGE。近い将来、シーンの重要バンドとなるだろう。初物尽くしのこの日最後を飾ったのはJ.P.Nayuta。前の2バンドの創ったフロアの空気を塗り替える、いや塗り加える印象だった。2バンドに感化され、たくましいパフォーマンスにより磨きが掛かる。Vo.宮坂のいつかは途切れそうな、しかし力強い声は観ている人、聴いている人にとっての希望にも思えた。彼らが奏でるメロディに、幾人もの人々の背景や生活が浮かび上がる。とても居心地の良い、優しい空間を作った。この日のバンドたちの次なるビジョンはすでに遠く、はるか彼方に向かっている。そんな『2012』だった。
[文/撮影 後藤瞬]


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