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2011.1.27
"laid back ~atrem 1st album「flight」レコ発企画~"
atrem/Dill-Opera Tion band set/radi strand/pnoom

昨年7月のアルバムリリース以来ずっと沈黙を守ってきたatremが、ついに初ライブをここZher the ZOOで敢行してくれた。この日を待ち侘びたであろうお客さんたちも多かっ たことだろう。ライヴはpnoomのステージで幕を開けた。ディジュリドゥの音がゆっくりと煙のように場を満たしていく。それに呼応するように周囲の音が段々と空気をソリッドなものへ変えていく。目を閉じて聴いていれば地面の存在を忘れそうになるトリップ感。終盤にはステージと客席の境目すら消えて、会場が一つの祈りの場と化したように見えた。これぞトランスだ。続いてradi strand。最小限の音量で作られる繊細なステージ。小さい音は誤魔化しが利かない。洗練されていなければ成立しない。彼らのライブはそれ自体が詩であり物語だ。美しいアートに触れた時に感じる言葉にならない感覚に震えた。次はDill-Opera Tion band set-の登場。1曲目の印象ではロックンロールバンドなのかと思いきゃ、ジャズやムード歌謡、クラシックに現代音楽の要素までが交錯する摩訶不思議な世界観。舞台音楽なども手がける作曲家Dillの遊び心とイタズラ心を、やり手のメンバーたちが加工することで生まれる上品な毒。してヤラレた。そしていよいよatremがステージに立つ。まるで今日のイベントを総括するかのように、pnoomのトリップ感、radi strandのアート性、Dillの遊び心、そのどれもが詰まったようなライヴだった。初ライブという状況に舞い上がることもなく、クールに抑えるところは抑え、進むべきところは進む緩急の妙をすでに持っている。この次は更に成長した姿を見せてくれることだろう。そう遠くない日に。
[文/撮影 神保新]


pnoom


radi strand


Dill-Opera Tion band set


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