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2012.8.19
"音楽たちの理由"
砂場/3markets(株)/モケーレムベンベ/オーガストインディアン

ライブのリハーサルはいつも見ている。入念にステージ周りをチェックする、音を理想に近づける。しかしこの日はそれら以外に、何かがいつもと違って見えた。説明する事の出来ない何かを感じた。それは不安ではなく、確信。何か確信しながら、開演時間を迎えたのだ。静かに始まったオーガストインディアンのライブは、毎度の事ながらお客さんを全く煽らない。しかしそれは他者とのコミュニケーションを遮断しているワケでは無く、シンプルに音楽で人と繋がり合う術を知っているから。彼らなりのサウンドメイクで心地よい空間を作る。西は大阪からモケーレムベンベの登場。皆一様に品定めをするかのようにステージを見つめる。関東ではほぼ無名の彼らの音楽やいかにとVoの第一声が聴こえると、皆確信する、本物だと。彼らの真っ直ぐなパフォーマンスには説得力を感じる。都内ではライブ本数の少ない彼らを次回は是非体感して頂きたい。そして次世代シーンの筆頭に上っている3markets(株)の冒頭をかざる朗読には思わずにやけてしまったが、一所懸命に必死に生きるしかない人間の奏でる音楽は心を突き刺しまくった。お世辞にもカッコいいとは言えない3人の、無様な生き様は聴き手を共感させ、安らぎを与えてくれた。そしてこの日を待ち焦がれた人も多いかと思う。砂場の登場。バンド形態での出演はザーザズゥでは勿論、全てのライブハウスを含み、随分久しぶりな3人での久しぶりのライブ。活動が止まっていた頃、ファンは随分前にリリースされた音源を擦り切れる程聴いたであろう。その音楽たちが立て続けに演奏されると、会場には懐かしさ新鮮さ入り混じる独特の空気感が出来上がった。活動の沈黙を破った新しい音源からも数曲リアレンジして演奏し、今現在の砂場を聴かせる。1曲1曲終わるごとに鳴る拍手が幸せになった人の数だけ沢山沢山鳴り響く。アンコールにはその曲のタイトル通り、彼らと皆の"旋律"が響いて終了。砂場のリリースツアーファイナルも兼ねた今夜だった。一度歩みが止まる、もしかしたらまた止まるかも知れない。しかし人もバンドも再び動き出すのには理由がある。歌い手聴き手それぞれの夢や希望があるから。それと同じように、音楽たちにも理由がある。
[文/撮影:Zher the ZOO 後藤瞬]


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