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砂場

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  • 今だからこそ語るバンド結成秘話を教えてください。

  • 砂場は長野県松本市の大学時代に所属していたサークル、「ビートルズ研究会」で生まれたバンドです。僕は前にやっていたバンドが解散してしまった後しばらく一人で活動していて、学食でたまたま居合わせたベースの浮田君と一緒にやってみようか、ということになって。そしたら次はサークル部屋でたまたま居合わせたギタリストの畠山君をドラムの席に座らせてみたら意外に面白い感じになったので(笑)、なし崩し的に長野市のライブハウス、ネオンホールで初ライブを決めてしまいました。砂場の誕生は、結構勢いです。今も続いている自主企画イベント「世界の砂場から」も結成速攻の2ヶ月で開催していたり、勢いに任せたバンドです。
    その後は、一年足らずで学校の卒業を迎えて遠距離バンドになったんですが実はそこで一
    度、その後の活動は諦めていました。それを奮い立たせたのは、たまたまネット経由で見つけてくれた東京のライブハウスからのお誘い。そこでまた勢いが大事ということで出演させてもらって、それからこうやって今に至るところまで続いています。だから、本当に縁があって良かったなあって思う。今回のワンマンもザーザズー後藤さんからお誘いをもらって、本当は不安も大きかったですが勢いつけて決めました。
    ただでさえ遠距離編成なので、あれこれ考えだすと何も動けなくなってしまう。衝動の向く方向、素直に進めば大抵はなんとかなるし、そういう風に動き出すんだって信じて、今回も頑張ります。


  • 2013年現在のバンドの聴き所・見所は?

  • メロディが独特とか、声が特徴的とか、そういうお話を頂くことが多いですが、やはり歌を大切にするバンドということで今もそこを大切にするスタイルはずっと変わっていません。でも最近変わってきたのは詩かな、と。
    昔はもっと景色が浮かぶような、いわゆる写実的な表現に傾倒していて、抽象的な詩を書いてたと思うんです。だけど、最近はもっと直接的に感情の吐露みたいなのが出てくるようになりました。でも、まあ根本的には自分の中にある暗い部分で、多分、存在不安だとか焦燥感だとか、主に形の無い感情。でも、それに言葉やメロディという形や色を与えてあげることで、それが見えるようになるから、そこに光がちょっとだけ見えるように歌うと、少しだけ不安が軽くなるような気がするんです。自分で自分の背中をちょっと押せるようにって、そういう歌が多いのかな。
    砂場の音楽から何を感じとってもらうかは、基本的に自由です。でも、こういう歌の世界に触れて、もし僕と同じようにちょっとだけ掬われるような気持ちになるとしたら、多分僕にちょっとだけ似てる人なのかもしれないです(笑)


  • 最近買ったレコード、見たライブでよかったものを教えてください。あと影響を受けた、アーティスト、ミュージシャン、映画、なんかを教えてください。

  • バンドを始めた大学時代は、くるりがちょうど「さよならストレンジャー」から「The world is mine」のあたりを出していた頃で、今も時々引っ張りだしますが、当時は随分聴いてました。サニーデイサービスとか、情緒のあるバンドが特に好きでしたね。そこにアナログフィッシュとか、スパルタローカルズとかフィッシュマンズ、とかから掘り下げて、洋楽邦楽のインディーズロックを聴くようになって。
    でも最近は、他のバンドのライブを観に行くと、自分がそこで演奏できないことが悔しくなるのであまり行けなくなりました。だから最近のライブで話をするのは難しいのだけど敢えてあげるとすると・・特にここ数年、とっても仲良くしてくれてるバンド、3markets(株)の音楽が大きく響くようになりました。昔は多分そこまでこういうの好きじゃなかったと思うんだけど。その人たちを知れば知るほどになんか染みるようになってきて。あそこまで赤裸々にさらけ出すスタイル、最初は抵抗もあったはずなのに最終的に憧れるようになってるのかもしれない。


  • もしミュージシャンじゃなかったら?

  • 高校生くらいで死んでたんじゃないかな、と思います。当時、学校の中ではいわゆる目立たない、というか輪に入れずに疎外されてた側だったから。通ってた学校とは違う地元の友達に誘われてライブハウスのステージを経験して。まあもちろん当時はコピーばっかりだったから偉そうなこと言えないけど(笑)でも、そうやって歌うことを始めたら、自分にはこれがあるって一本筋が通った気がして。認めてもらえる場所があるんだって、学校という場所に縛られる必要ないんだって思って、そうしたら不思議なことにそこに居るのも苦痛じゃなくなってた。
    だから、いまどこか自分の居る場所が息苦しいなって思う人は、思い切ってその場所を捨てたりするのもいいんだと思います。勿論、見えない場所に飛び込む訳だから不安なことも多いけど、飛び込んだ後、見える場所がとっても素敵だったりすることもある。


  • バンドを十年も長く続ける秘訣とは?また、十年続けて思うことは?

  • 砂場が続いたのはもう奇跡ですよ。とっくに解散してておかしく無いし、ライブの度、共演の人たちに驚かれるから。だから、バンドが続く理由は、続ける価値があるって信じていられるから、その一点に尽きると思います。

  • 今更でごめんなさい、なんで「砂場」っていうバンド名なのですか?

  • これはライブハウス出演が決まってバンド名決めようっていう話になったとき、適当に思いつくままに三人で出し合っていきました。そしたら最終的にドラムの畠山君の「砂場!」って発言で決まった。
    バンド名の付け方にはいろんな考え方があるけど、僕は言葉を聞いてそこから広がる世界があるのがいいなって思っていたから、懐かしさだとか、自由に何でもつくれる創造の場だとか、砂場って言葉から浮かぶ、イメージが好きだなって思ったんです。でも、畠山君に随分後になってから聞くと、三谷幸喜さんのエッセイが由来だったみたいです。チャゲ&飛鳥とそれぞれ別のバンドを組んでいて、チャゲが「ビッケ」、飛鳥が「ブランコ」、そして三谷さんが「砂場」だった、っていうフィクションのお話が浮かんだからって。それはまた畠山君らしくて面白いんだけど。


  • Vo.奈月さん、なんでいつもステージでは豆乳飲んでいるのですか?

  • ライブの時に飲む飲み物は何がいいかって、歌を歌う人たちの中では必ず一度は話題になる話ですよね。豆乳になったのは本当にたまたまなんですが、とろみがあると喉を守ってくれそう、とか半分以上は気分の話レベルです(笑)
    でも、後々調べてみると喉には水分と油分が必要だってよく言うし、イソフラボン効果による女性ホルモン促進で高い声が出そう・・とか、これはまた科学的な根拠を欠くレベルの話だけど、まああながち的外れでも無いんじゃないかって思って続けています。


  • 砂場にとって音楽は勿論の事、ライブハウス(Zher the ZOO YOYOGIなど)、そしてバンド仲間、お客さんとは?

  • 音楽については、昔ブログでも書いたことあるんですが、魔法みたいなものかなって思っています。RPGのゲームとかだと大抵は魔法使いって職業があって、特徴としてはまず体力が無い。あと、強い武器とか防具とか装備できないから基本すぐ死んじゃうんだけど、一転、魔法を使わせたらめちゃめちゃ強くって、でもMPがなくなるとまた魔法が使えなくなるから全然役に立たなくなっちゃう・・っていう。魔法使いが魔法が使えなかったら役に立たなくなくなっちゃうのと一緒で、僕も歌えなかったら本当、どうしようもなくなっちゃうなあって。
    自分の存在なんて本当に小さくて大した価値もないけれど、歌えるっていうこの一点だけで、本来自分が個人で一生のうちに出会える人たちの何百倍もの人たちと出会えていると思います。でも、それは逆を返すとそれだけ何百倍もの人たちに、必要なのかそうじゃないかを判断されるってことでもある。
    砂場の音楽に出会って、好きになってくれるひとが確かにいて、そういう人たちの存在に本当に掬われているけれどそれは同時に、その他の何百倍の人たちに要不要を判断されたりすることでもあるんですよ、僕にとっては。だから、音楽は痛みを伴う。でも、その一握りの人たちの心に届いて、それがどうしようもなく幸せだからずっと辞められないって言う。なんかちょっとヤバい系のお薬みたいですよね(笑)


  • バンド、そして自分自身の未来像を教えてください。

  • とにかく活動がスローペースなので、バンドについてはもうちょっと柔軟に曲づくりをして、またCDを出したいですね。打てば響くって言葉、ずっと信じてるんだけど、でも現実はなかなか甘くない(笑)でも確実に響いたよって人たちが増えてきてるから、それは確かだと思うんです。だからその輪がだんだんと広がっていくように頑張りたい。
    自分自身は、そうですね、とにかく心穏やかに暮らせるようになりたいです。なんでか性格のせいなのか、生きてる価値がない、消えてしまいたいって思ったりすることが多くて。そういうのはまず自分がとってもつらいんだけど、それ以上に、一握りでも自分のこと好きだって言ってくれる人たちのことを否定してしまうことでもあるって、それも本当だと思うから。見えなくてもちゃんとそこにあるって信じて生きてゆけるように頑張りたいです。思いっきり音楽やりきって40くらいで死にたいなんて、昔は結構言ってましたけど、実際そんなに遠くもなくなってきたし・・、ちゃんと天寿を全うしたいと言えるようになりたいです(笑)


  • では最後に一言。

  • 2013年9月28日、僕たちはこの日のことをとっても大切に思っています。だから、来てくれるみんなにとっても大切な日にしてもらえるよう、精一杯頑張りたいと思います。


9/28(土)
"此処で会ったが十年目"
砂場 -oneman-
OPEN 18:30/START 19:00 ADV. ¥2000/DOOR. ¥2500
L[70133]・e+ 6/22〜 ZtZ 8/28〜


バンドを結成してから10年。その殆どの期間が遠距離編成という中、バンドが続いてきたのは単純に「この音楽に続ける価値がある」と信じているからです。
でもバンドはいつ無くなってしまうかわからない。もちろん終わるつもりじゃないし、きっとこの先も続く。でも、もし、例えば、あともう一度しか会えないとしたらこの日に全てを尽くしたい。結成十周年の節目にそう思ってつけたタイトルです。終わりみたいでも始まります。是非見にきてください。

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