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Live Report ライブレポート 2008

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2008.8.10
"grooving trad"
小島麻由美/D.W.ニコルズ/のあのわ


小島麻由美

D.W.ニコルズ

のあのわ
見たこともない景色が見えたり、行ったこともない世界が目の前に広がる瞬間を味わうのがライヴの醍醐味と信じる私にとって、打って付けのイベント。しょっぱなからのあのわの壮大なシンフォニーに巻き込まれ、ファンタジーの絵本の中に連れさられたような心持ちに。曲が終わって、次の曲が始まるときは、絵本のページがめくられているような感覚に。続くD.W.ニコルズ。フォークロックを基調とした瑞々しく伸びやかなバンドサウンド。部屋の窓から降り続く雨を眺め、別れた恋人を想う新曲「サマーレイン」をはじめ、日常に根付いた等身大の歌詞が胸を打つ。母親が死ぬのが怖いとか、歯医者に行くのが嫌だとか、彼女ができてやったーなんて、何の臆面もなく言ってのけるボーカルわたなべの姿は、素直な感情を表に出すのが不得手な自分には眩し過ぎて、思わず目を細めてしまうほど。トリを飾るは昭和歌謡、ジャズ、ブルースをエロスで煮染めたような独自の世界観で聞き手を魅了して止まない女性シンガー、小島麻由美。デビュー曲「結婚相談所」でスタート。塚本功を初めとする豪華メンバーが脇を固め、ハイクオリティな演奏でオーディエンスを唸らせる。彼女はとても不可思議だ。身のこなし、表情、視線、細くて長い手足、すべてが不可思議だ。確かにそこに居るのに、掴みどころがない幻のよう。フィクションのよう。リアリティのある夢を見ているよう。何故そんな風に感じるのかは分からない。ひとつ分かるのは、宿便のように頭の中にこびりついた、夢の残響のような歌声を聴くために、私はまた彼女のライヴに足を運ぶのだろうということ。触れられない虹に触れようとする、小さな子供みたいに。 [文/宮本貴子、撮影/小川舞]
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