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Live Report ライブレポート 2018



2018.4.29
"喜納昌吉 Tokyo Live~Beyond the Future~"
喜納昌吉
GUEST> やなわらばー
喜納昌吉 喜納昌吉
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喜納昌吉
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沖縄の生きるレジェンド・喜納昌吉がチャンプルーズを率いて、CLUB Queに初出演! この日のドリンクは泡盛やシークヮーサーも準備され、ハイサイボールも盛況。久々の東京単独公演とあって前方のイス席も後方のスタンディングも満員御礼だ。

第一部は、沖縄・石垣島出身でデビュー15周年を迎えた女性デュオ、やなわらばーが登場。石垣優(Vo&三線)と東里梨生(Vo&アコギ)の姿にフロアから「カワイイ!」の声が飛ぶ。ステージの右端に並んで「空をこえて海をこえて」「じーちゃんとギター(未発表曲)」を披露。美しく透明感のある歌声と、沖縄の風景が見えるような三線の音色と言葉が心にしみる。「私たちにとって、誰に教わるでもなく物心ついた頃から歌っていた喜納さんの歌は、何百年も昔からあって、喜納さんていう人はもういないものだと思っていました」とのMCに場内爆笑。ラストは“大切な人を思い浮かべて聞いてください”と「平和の歌」を演奏。短い時間ながら、沖縄について戦争について平和について、自然と心の奥深くへと訴えかけるライブとなった。

やなわらばーが残ったままのステージに、喜納昌吉とチャンプルーズ(Key、Dr、Gu)を迎え入れ、さっそく琉球民謡を披露。次いで、やなわらばーもコーラスで加わり、与那国島有数の景勝地で感じた想いを歌った「東崎(あがりざち)」を演奏した。第一部の最後「ハイサイおじさん」では、ついにフロアで多くの人が“カチャーシー”を踊り出し、時代を超えて受け継がれる沖縄の歌のパワーを実感する。ステージではそれ以上の熱量で叫びジャンプするパワフルな喜納の姿があった。司会・進行役のMCが思わず「喜納さん何歳ですか?」と尋ねると「100才から30を引けばいい」と。軽快なテンポで明るい曲調の「ハイサイおじさん」だが、喜納が13歳の頃、日本が戦争の後始末に追われた時期に作った歌だという。おじさんの悲しいエピソードを内包しつつ、戦争で落ち込んでいるみんなが元気になるように後押しできれば、という気持ちを込めたと語った。

第二部はトークセッション。事前にHPやツイッターで募集した質問や、当日会場でGoogle Homeを使って集められた質問が喜納にぶつけられた。やなわらばーからは、喜納の“指さしポーズ”の意味を問われ、チャーチルが戦争に勝った際に掲げたピースサイン、半分は平和で半分は地獄、そのビクトリーに疑問を持たせたポーズだと答えた。「政治と音楽、どちらが人の心を動かせると思うか?」の問いには「音楽をやっても政治をやっても、主人公は私。誰でもマルチな命。自分のやりたいことをやればいい」と説き、「右翼でも応援してもいいですか?」には「私は右翼でも左翼でもない、“なかよく”だ」と答えた。また、喜納はアジア代表としてアトランタ五輪、北京五輪でステージに立っており、「東京五輪でも『花』を!」の声が会場からあがった。

第三部はライブに戻り、ピアノの音色が印象的な陽気なアイリッシュトラッド風「地球の涙に虹がかかるまで」を演奏。MCで外交問題に言及し“沖縄が地球から預かっている尖閣諸島は、人間だけのものじゃない”と訴えた。そして「アリラン」を歌いながら“この歌を韓国や北朝鮮で私が歌うと、人は涙を流す。分断されたコリア民族の歴史の断層から流れてきた涙だ”と説くと、喜納は突然「僕は38度線でコンサートをする!」と宣言、会場は拍手喝采となった。「島小ソング」では喜納が立ち上がってエレキギターをかき鳴らし、再び力強い熱唱を繰り広げると会場は大合唱に。最後は「花」。一番はやなわらばーが凛とした雰囲気で歌い、二番は喜納が迫力ある声で歌い上げた。あふれ出る思想の一端をトークで聞いた後で、ロックの破壊力と民謡が融合する独自の喜納昌吉ポップスには余計に圧倒される思いだった。

再び全出演者がステージに登場し、アンコールは「セレブレーション・レゲエ」。さらに「ハイサイおじさん」を再演。スピードアップしていくクライマックスで、喜納が歌いながら何度もジャンプすると、手拍子と合唱が巻き起こり、フロアにカチャーシーが飛び交って、最後まで熱く熱く盛り上がった。拍手と歓声が鳴りやまない下北沢の夜は、完全に沖縄と化したのだった。

[文:下村祥子/撮影:渡邉由]
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