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Live Report ライブレポート 2018



2018.9.2
【DAY】"それでも世界が続くなら「それでも世界が続くなら」リリース記念ワンマン公演『イツカの戦争』"
"それでも世界が続くなら活動中止ワンマン公演「休戦協定」"
それでも世界が続くなら –oneman-
それでも世界が続くなら それでも世界が続くなら
それでも世界が続くなら それでも世界が続くなら
それでも世界が続くなら それでも世界が続くなら
それでも世界が続くなら
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2月11日に活動中止を発表したそれでも世界が続くならの中止前、最後のワンマン公演。追加公演の昼の部は、3rdミニ・アルバム『それでも世界が続くなら』リリース記念ワンマン"イツカの戦争”と銘打たれた。
 正午すぎ。会場は、真昼間だなんてことを忘れてしまいそうなほど落ち着いた空気が漂っている。定刻が過ぎ、拍手に迎えられメンバーが登場し「少女と放火」からライヴが始まる。照明はなし。VJによる幻想的な映像の背景を前に、4人の表情はうっすらと見えるくらい。轟音が渦巻くなか菅澤智史(Gu)のオルガンのような繊細なギターが鳴り響くと「イツカの戦争」へ。生きる意味を歌とともに伝える篠塚将行(Vo.Gu)は“生きる意味なんて最初からない”と吐き捨てると、ずっと負け続けて自信なんかない! と自らの心情をあらわにし“幸せになるってことは闘うってこと。生きるってことは闘い続けることだ”と、いま目の前で自分の音楽に向き合ってくれた1人1人を肯定するように、自らを奮い立たせるように叫び続ける。歌詞だけでは収まりきらない想いをそのまま歌に織り交ぜる篠塚に、琢磨章悟(Ba)がコーラスを添える。伝わってほしいと切実な想いに溢れるなか「SNSとオフライン」は、メディアによって生まれた息苦しさと孤独を表現しながら“信じることしかできない。裏切られて、繰り返すことしかできない。それでも!”と叫んだ。不安を抱えながらも見えないものを信じる強さ、痛烈な想いが重厚な演奏と重なり生々しく鳴り響く。本編ラストは、栗原則雄(Dr)の8ビートとギターが爽快に疾走する「アレロパシー」で締めくくった。鳴り止まない拍手のなかアンコールでは、“昼の部しか来ない人もいるよね”と気遣いながら「スパロウ」、「最後の日」、「死なない僕への手紙」を演奏して〆。数時間後にもう1公演が控えているとは思えない完全燃焼のライヴを見せた。
 いつだって誠心誠意、全力でライヴをする彼ららしいが、余韻に浸っているとあっという間に夜公演『休戦協定』へ。「優しくない歌」から幕を開けると、昼の部での余韻を引き継ぐように、のっけから温かな空気で包んだ。選曲の一部は、昼公演と重なる楽曲もあったのだが「参加賞」では“お前を許せるのは音楽でも友達でもない! 自分だけだよ、気づけよ!”と痛烈な想いを投げかける。そんな言葉の後に演奏された「僕らのミュージック」は、弱ったまま立ち往生した気持ちにグッと手を差し伸べるようにやさしく響いた。“音楽なんて俺、信じてねえけど。それでも、音楽信じてやってみるよ”と「魔王とバッドエンド」へ。時折お互いの顔を合わせて調子を確認し合うメンバーだが、MCもないなか展開するライヴのなかで独特の間や楽曲の切り返しは4人の信頼関係がないと成立しないと痛感する。終盤、「罪と罰」を演奏すると“全然足りない。何度歌っても、伝わってる感じがしない! 何でだよ! 自信が欲しい、もっと(自分に)自信があれば…”と悔しがる篠塚に、大好きだよ! 伝わってます! と観客が次々に声をかける。思いがけない声援の数々を耳にして“…マジか”と返すと、“あっ、こういう一体感いらないから。やめよう!”と素の口調で気遣うと張り詰めた緊張感がプツリと切れて、どっと笑いが起こった。“あ、でも言ってくれた人も言わなかった人も、何も思ってないやつもありがとう”と続けたのが彼らしいが、受け止めた想いを全て昇華するように「カイン」を演奏してライヴを終えた。
 アンコールでは、「成長痛」、「チルの街」を演奏。“もう、アンコールさせねえから”と篠塚が言うとメンバーに対して“アンコールさせないような演奏しよ!”と喝を入れて「最後の日」へ。フルパワーの演奏を見せると“俺は生きてるぞ! 俺のことをバカにしたやつ! 俺にバンド向いてないって言ったやつ! 裏で陰口言ってるバンドマン、俺は生きてるぞ! 殺せるもんなら殺してみろ!”と言い放ってライヴを終えた。客席のあちこちから、ありがとう! 最高! と思いのままの声が入り乱れると、“言っておくけど、俺から見たらお前らのほうが最高だから!”と篠塚。栗原、菅澤、琢磨もやりきった清々しい表情で感謝の気持ちを伝えステージを後にした。
 それでも世界が続くならの音楽を、心のよりどころにしている人、生きる糧にしているファンたちの感謝がいっせいに会場に溢れた。死闘といっても過言ではない、4人の魂の籠ったライヴは昼・夜を合わせて計5時間にも及んだ。約束の日まで、約5ヶ月。少し先のことのように思えるが、その日はきっとすぐにやってくるだろう。4人が納得のいく決着がつくよう私たちは待つことしかできない。“やってない曲は今度に取っておくから”とアンコールで篠塚が言っていたが、来年2月の彼らの決断と報告を静かに待ちたい。

[文:大島あゆみ/撮影:乙羽]
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