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2017.10.9
CLUB Que Shimokitazawa Twenty-third Anniversary [THE TOKYO 23] "the sea falls asleep presents『雨の日は。Vol.2』" the sea falls asleep 画像をクリックすると拡大表示で閲覧できます。
長く降り続いた雨が止んだ。下北沢CLUB Queの23周年記念イベントの中盤戦に登場したthe sea falls asleep。イベント名の通り彼らは雨男で、前回の『雨の日は。Vol.1』も雨だった。しかし、この日はまさかの快晴。いつもと違う空模様に、期待せずにはいられない。冒頭から「出発の日」や「センチメンタル」と、立て続けに新曲を披露。あとで気付いて驚いたが、なんと今回のセットリストは1/3が新曲。vol.1のレポートでも触れたように、改名や脱退を経て新たなスタートを切った彼ら。久々のワンマンライブに気合が入っているのだろう。クドウナリヒサ(Vo.Gu.)が紡ぐ詞は、光と影が同居しているような、青年の心のアンバランスさや脆さに心惹かれるのだが、新曲はその先にかすかな希望を感じる。さらに、バンドアンサンブルも現体制になって1年足らずとは思えないほど盤石。「眩暈」では、ピアノの旋律とアコースティックなサウンドが心の空虚にそっと寄り添い、「からんころん」では青年期の混沌とした心象を表出させたような、クレイジーでダイナミックなプレイでフロアを圧倒する。クドウの繊細さや曲の温度感を緻密に表現していて見事だ。本編最後は前向きなパワーポップ「素敵」。彼らの晴れやかな表情こそ、降り続いた雨が止んだ答えではないだろうか。アンコールの「彗星」と「カナリア」では、曇り気のない澄んだ音色と叙情的な詞が心を満たし、柔らかな日差しの暖かさに包まれている感覚を覚えた。 「次にどうやって進もうか考えてる」「新しい曲を作って、聴いてほしい」 –—そう前向きな想いを口にする彼らの後ろには、美しい虹がかかっているように見えた。これから彼らが歩む先には、眩い光が溢れているに違いない。 [文:森川幸/撮影:山中善正] ※CLUB Que WEBSITEすべてのコンテンツに使用されている画像の無断転載は禁止です。
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