狐と葡萄 (MV)
弱者の行進 (MV)
※篠塚将行(しの),菅澤智史(ガス),琢磨章悟(しょ),栗原則雄(ノリ),Que 後藤瞬(後藤)の表記で進行します。
後藤:ベルウッドレコード(キングレコード系列)との出会いがあり、2ndシングル、そして2ndミニアルバムをリリース
されましたね。前作の内面をえぐり出す様な表現をしてから更に楽曲の変化が見受けられます。表現方法の違いで
あり根本は変わっていないと思いますが。
しの:本当は、もともと前作「最低の昨日はきっと死なない」作った時に、同時に誤解もされる音源なと思ってたし、な
により心配もされるなとも思ったのね。だから、本当は2枚組にしたかったんだよね。「最低の昨日はきっと死な
ない」と、「52Hzの鯨」は。この2枚組にしたら、なんか心配されないかなと思ってたけど、でもこの前作は、自
分達だけでリリースしたじゃない? 予算的に無理で(笑)。お金が現実的に無い、と。それで結局、リリース出
来なかった曲達なんだけど、まず先に「最低の昨日はきっと死なない」はリリースしないとって。だから、それと
対になるというか。変な話だけど、「狐と葡萄」は「僕らの
ミュージック」をもう一回やる、って気持ちだった。
後藤:それの感覚はとても分かります。
しの:最初から上手くいくほど、器用なバンドでも人間でもないんだ
よね。きっと。ずっと失敗続き。全部失敗作なんだよ。
で、「僕らのミュージック」で俺がやりきれなかったあれを、
もう一回やるんだっていう気持ちになってて。そしたら過去を
肯定できる気がしたの。
後藤:それで、意図的にセカンドシングルですか。
しの:「僕らのミュージック」は1stシングルだったじゃん? で、
1stフルアルバムの「彼女の歌はきっと死なない」もどっちもファーストだったのね。だから分かりやすく自分の
中で、その次っていう2ndミニアルバムと2ndシングルって形で、もっかい、2回目をやってみたかった。
で、やったら、自分らあの時出来なかった事がすこし言えたのね。「狐と葡萄」演奏してる時とかは「僕らの
ミュージック」の時の事も一緒に思い出す。あの子の事、ライブに来てくれる子、子供の頃の事も思い出すけど
ね。ちゃんともう一回、ライブハウスで聴いてくれる奴に向かって自分の事もそいつのことも、分けずに歌う。
後藤:やっと自分が統合したんですね。100曲近く作って。
目の前の人と自分に、それを分けずに歌うって、リアルですね。
しの:でもさ、ライブってそうじゃない? ライブってステージがあって、上がってさ、そこに聴きに来てくれる奴が居
てさ、でもそんなステージなんて垣根は本当はなくてさ。人間と人間で、歌の中の誰かにじゃなくて、今いるそい
つに歌う事じゃない? ライブって。「最低の昨日はきっと死なない」はやっぱ自分の事を歌った分だけ凄いなん
か閉鎖的というか、自分の中にどんどん掘り下げて行って、誰の事も見てないから。あれを知ったから、もっかい
あれを超えて、もう一回ちゃんと、ライブに来てくれたりする人の顔を見ようっていう、ライブしようっていう
ね。「僕らのミュージック」でやろうとしてたこと。あの時は浮足立ってた事が、ちょっと遅かったけど出来たの
かなという気持ちでいるよ。
後藤:「狐と葡萄」を聴いたときに、この前バンド組んだんです、みたいな感じの、フレッシュさがありますよね。
しの:言いたい事は、よくわかるよ(笑)。フレッシュさは本当に副産物なんだけどね。
後藤:インディーズを経て、メジャーを経て、またインディーズに戻り、色々とあったバンド。という風には、ある種全
く感じれないと言いますか。とても瑞々しい曲だなと感じました。
しの:そうだよね(笑)。普通はこんなの逆にやらないよね(笑)。
後藤:とてつもない若返りをしたんだなと。
しの:そうだね。でもこの曲シングルになったのは、まあ待ってる人なんてもう誰も居ない…そう、約束の一か月後に待
ち合わせの場所に行くような感覚で。もう絶対待ってる訳ないんだけど、感覚的には何年後かにその待ち合わせの
場所に行って、勿論、居ないけど。そこで言いたかった事を言う、みたいな感じ。
後藤:変な話、それせか楽曲史上最大の、(ライブ中に盛り上がって)手が上がるかも知れない曲かも知れませんね。で
もそんなイメージが浮かび上がる程、この「狐と葡萄」は絶対に多くの人に愛されるのではないでしょうか。手を
上げるタイプの人にも、勿論手を上げない人にとっても響き、伝わると言いますか。
しの:なんか、そう言ってくれるとなんか…なんだろ、こんな自分が変われる可能性があるっていうのは、有り難いなと
思うよ。聴いてくれて、ありがとうね。